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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: ココロ×ツバサ 第1話出会い ( No.5 )
- 日時: 2013/06/14 17:15
- 名前: 外園 伊織 (ID: IfRkr8gZ)
ー1ー
—三月は、別れの季節
中学生の別れは悲しいってみんなは思うけれど、和音(かずね)はどうしてもそんな風にはおもえなかったため、卒業式は感動しなかった。
—だって、中学校生活三年間がちっとも楽しくなかったんだもの…。
親友はいなかったし、友達といっても響きはいいが、本当は誰も自分のことを大して好きではないのだ。
もっとも、これは私が感じてそう思ったのではなく、友達だった佐崎麻理と吉野由紀が話をしていたのを、最悪だと思えるくらいはっきりと聞いてしまったのである。
そう、偶然に。
中二の夏、忘れ物を取りに行こうと放課後和音が教室に入ろうとした直前に二人の会話が聞こえたのだ。
『和音ったさぁ、本当に暗いよね〜。しかも何考えてるかわかんないからさ』
麻理が馬鹿にしたように笑いながら言うと、由紀が頷いて。
『わかる。可哀想だから友達になってあげたけど』
彼女達の言葉が心に突き刺さったような感じがして、和音は胸をおさえた。
—何を考えているかわからない。可哀想だから。
二人の会話が何度も反響してきえた。
だから友達になったんだ… 私のことを好きだから友達になったのではなくて。
気づくと和音は、何も考えずに、廊下から頭を振って走って逃げた。
胸が痛んだのはきっと気のせいだと必死に思いながら。
このことがあってから、和音は何かを思うことは極力避けた。
それは。
何かを思った分、自分が傷つくことを恐れてしまったから。
◇ ◇ ◇
ある日、ふと気になった
そういえば、いつからだったのだろう
人をあまり信じることが出来なくなったのは…
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