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Re: ココロ×ツバサ 第1話出会い ( No.7 )
日時: 2013/06/14 17:29
名前: 外園 伊織 (ID: IfRkr8gZ)

 日が差し込み始めた頃、和音は背中の真ん中ほどある黒髪を顔の横側に束ねて結ぶと、パジャマ姿のまま自室を出て数メートル先にある階段を下りた。
 和音がリビングに入ると、朝食の準備を終えた母・明美(あけみ)が和音に気づいて笑いかけた。
「あら、和音おはよう。朝ご飯できてるから食べなさい」
 和音はおはよう、と言いながら定位置である自分のイスに座った。
「いただきます」
 目玉焼きを食べていると、母も席について朝食を食べ始めた。
 父がこの場にいないのはいつものことだ。単身赴任でなかなか帰って来れない父は私の高校の入学式にも来ない。
 母は入学式ぐらい帰ってくればいいのに、と文句を言っていたが、私はいつものことなので残念だと思わなかった。
 父は仕事が忙しいのだから仕方がない。そう、それだけ。

 朝食を食べ終えると、洗面所に行って顔を洗い、鏡に映る自分の姿を見た。
 和音の父はハーフなので普通の人と違って、髪の色が光に当たると暗めの茶色に見え、瞳の色も瑠璃の玉みたいだ。そのため、よく髪や瞳の色でからかわれた。
 体も他の子よりも線が細く背が160cmぐらいあった。スタイルがいいと言われれば嬉しいが、どちらかというと和音は肌が白いのもあって、頼りなく見えると大人達に心配される方だった
 だから和音はよけいに自分のことがあまり好きになれなかった

 和音は自室に戻ると高校の真新しい制服に着替えた。
 紺色のブレザーにチェック柄の水色のスカート、リボンはスカートと同じ色だ。
 中学の制服はセーラー服だった。慣れない手つきのため、時間がかかってしまった。
 鞄に必要な物を入れて忘れ物がないことを確認すると、時計の時刻を確認した。もう家を出てていい時刻だ。
「いけない、もうこんな時間!」
 慌てて母のもとへ行き、出発することを言うと玄関で靴を履いてドアを開けた。
 星ノ宮高校は全寮制で、長期の休みでないと自宅に帰れないことになっているので、夏休みまで当分帰れない。ちなみに和音は荷物に関しては寮に送ってもらったので鞄に入れる物が少なく軽いので特に心配することはない。
「お母さん、行ってきます!」
 そうして和音は早足で駅に向かった。