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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 【参照400突破!】ココロ×ツバサ〜過去と未来〜 ( No.31 )
- 日時: 2013/08/27 13:54
- 名前: 外園 伊織 (ID: qh2qVUY5)
—蝉の鳴き声が響く並木を三人はゆっくりと歩いていた。
春には桃色の世界が広がる桜並木の周辺には、鮮やかな花がほぼ一年中咲き乱れている湖のほとりがある。
森のようなところにあるので、知らない人もいるぐらいひっそりとしていて人影もない。秘密の場所には打ってつけだと、三人はことあるごとに遊びに行くお気に入りの湖だ。
葵が湖がいいと言ったので目的地はそこになった。今日は午前授業で特に予定も無いので、夕方までいるつもりだ。
「わあ、きれいなお花」
声をあげた葵と同じように朔也と拓深は膝を曲げる。
「ん?ああ、本当だ」
桃色と薄青の小さな花を葵は瞳を輝かせて眺める。
かわいいもの、きれいなものは心が癒される。
「甘い香りがする。いいにおい…」
そのまま何時間もここに葵が居そうなので、拓深は葵の肩を軽くぽんと叩いた。
「ほら、はやく行くぞ」
「あ、そうだね」
朔也がのばした手を葵が嬉しそうに掴む。
仲睦ましい兄弟の様子に拓深はぼそりと呟いた。
「…ブラコンにシスコンめ」
「?」
独り言が聞こえなかったらしい首を傾げている葵の手を握った朔也はにやりと笑った。
「なんだ拓深、やきもち妬いているのか?」
「ちげ——よ!」
「お兄ちゃん、どういう意味?拓深ちゃんも顔真っ赤だよ?」
「っ!なんでもねーよ!!」
「恥ずかしがるなって」
「だから違うって!」
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