コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- 見習い陰陽師・ひより —覚醒— ( No.1 )
- 日時: 2013/02/19 19:58
- 名前: 外園 伊織 (ID: 5AipYU/y)
わたしは視えないはずのモノが視えてしまう
そう、たとえば…
「ひより〜ちょっといい?」
「どうしたの?美佳ちゃん」
ひよりが目を丸くしていると、自分のところに来た美佳はため息をついた。
ちなみに現時点でひよりは視てしまっている、美佳のうしろにいる幽霊を。
「それがね、なんか昨日から肩が重いんだよね…」
なんでだろうと頭をかかえている美佳を見てひよりは思った。
原因はなんとなくわかる気がする…
美佳と背後にいる幽霊を見比べながら確信した。
「美香ちゃん、ええと…それはね」
そこにいる幽霊にとり憑かれてるからだよ
なんてありのまま話したら、えっ、なに言ってんの?ってわたしのことをぜったい変なコだと思うから、とりあえず。
「たぶん、よく食べてよく寝てよく笑えばだいじょうぶだよ!」
かなり無理をしながらも言いつくろった。…つもり
美佳はうーんと唸りながら言った。
「そうだね、あたし最近ダイエットしてたから、それがいけなかったのかもね。聞いてくれてありがと、ひより」
そのまま去っていった美佳を見送りながら思った。
あんなわたしの言葉で納得した…
すごい、美佳ちゃんって単純というか、なんというか。
でも、元気で健康な体には悪いモノはとり憑かないのは本当だから、一応まちがったことは言ってない。
病は気からってよく言うし。
…まあ、よかった。うん。
下校の時間。
ひよりは美佳と別れた後、ひとりで道を歩いていた。
—夕方から夜は魑魅魍魎(ちみもうりょう)が活動する時間帯でもある。
ちなみに魑魅魍魎とは妖怪などのこと。
ひよりは小さいころから、それらを視ていたので大してこわいと思ったこともなく、ふつうに会話をしている。
ぼーっとしていたひよりは、ぐしゅっとなにかをふんだ。
『カア—!!?』
カラスの鳴き声が聞こえた下を見ると、ひよりがふんだらしいカラスがつぶれていた。
しかもただのカラスではない、正真正銘の妖怪のカラス天狗を。
ひよりはあわてて腰を下ろして、カラス天狗の肩というのかはビミョーなところをゆらした。
「わあああっ!!ごめんねカラス天狗さんっ、気づかなかった!」
『うぐっ。ひより、そんなにゆらさないでくれ!!!』
カラス天狗はうめきながら必死にそう言った。
「あっ、ごめん…」
ひよりがぱっと手をはなすと、カラス天狗はふらふらしながらひよりのほうに向き直り、ぎっとにらんだ。その視線で怒っているのがわかった。
『妖をふむな、妖を!!いいさ、どうせおいらはカラス天狗の中で一番弱くて小さい。それが悪いか!??』
「そこまで言ってないよ〜」
ひよりはげんなりした。この調子だと30分は説教されるよ。
いつものカラス天狗の説教がこうしてまたもや始まった。