コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- 見習い陰陽師・ひより —覚醒— ( No.3 )
- 日時: 2013/08/20 10:10
- 名前: 外園 伊織 (ID: FFRec9Wj)
それは、ある日の夜のことだった
ひよりのおうちは寺なので将来は尼さんになると思っていた。兄弟がいないので跡を継ぐのはひよりしかいない
わたしって大きくなったら尼さんになるんだよね、と何気なく父に聞くと彼は神妙な面持ちでこう言った
「ひよりにはまだ教えなくていいと思っていたんが、驚かないで聞いてくれ。私たちの家系はね、陰陽師を生業としているんだよ」
ひよりは愕然とした
—え、おんみょうじ!?
陰陽師は本で読んだことがあるから少しは知っているが、まさか自分の家柄がそんなことだとは思いもよらなかった。というか、今も陰陽師がいるの!?
いきなりの新展開だ
「え、じゃあ、わたしは陰陽師になるの??」
そう尋ねると父はそうだと頷いた
ひよりはめまいを感じた。話についていけない…
「私達陰陽師は明治時代に存在を消さなければならなかった。しかし、周囲に露見しないようにと配慮しながら今もいるんだよ。天ノ姫であられる撫子様がおられた時がよかったんだが…」
そう区切ると父はため息をついた
—お父さん、小学生でもわかる簡単な説明にしてくれないとわたしわかんないよ。と心の中で父にブーイング
あれれ、とひよりは目をしばたたかせて問うた
「てんのひめってなに?あと、なでしこ様はだれ?」
父の話で人の名前が出てくるとはめずらしい
「ん?ひよりには教えてなかったか。天ノ姫は字の如く天から授かったような姫。一族の間に凄まじい力を持って生まれた女性のことだ。強力な術を自在に扱え、その地の妖や人々を統べる役目を担う。撫子様は江戸時代後期に天ノ姫として君臨されたお方。
天ノ姫といっても所詮人だ、誤って非道に進む方もおられた。そうなった姫を我々は地ノ姫と呼んだ。地ノ姫は妖を従えて地を支配し、人々の平穏な生活を破壊する負の存在。…もっとも地ノ姫と同時に天ノ姫が誕生し、天ノ姫が地ノ姫の力を封印している間は地ノ姫は暴走しない。第一、天ノ姫など滅多に生まれず数代に一人ぐらいだ」
すらすらと暗記したような父の言葉は、やはり自分には難解だ
—頭の中がぐちゃぐちゃになる…
でも覚えなくちゃいけないなとため息をついた