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Re: まるで磁石 【参笑400超え!!ありがとう!!】 ( No.138 )
日時: 2013/03/13 20:02
名前: 春歌 (ID: cakHq5Qm)

やっぱり、イケメンだなぁ。

廊下でふざけあう藤村くんを、うっかり、うっとり、眺めてしまう。

「まーなみ、また見てんの、あーた」

「べ、別に……!」

「あんたー、わかりやすいよー」

「うっさい、黙ってて!!」

今日は、雨。梅雨に入った、今日この頃。

よってお昼ご飯は、なぜか美術室。ルミちゃん曰く、

「雨の教室って、人いっぱいいるから、やだ。なんか煮物の臭いするから」

らしい。なんだ、煮物の臭いって。



それにしても、

「さとにぃはいっつも家いるじゃん! あたしは学校にいる限られた時間しか、見れないの!!」

なぜかあたしまで、”さとにぃ”呼び。



これは、

「真奈実ばっか草宮さんなんて、ずるいよー。はい、分かち合いましょう」

語尾にルンルン♪ がつきそうな勢いでせまられて、「は、はい」としか言いようがなかった。

「だってー、何か嫌じゃない。あたしだって草宮さんって呼びたいのにーー」

なんだそりゃ。読者のみなさん、誰でもいいので、ルミちゃんの気持ちを訳してあたしに教えてください……。


話がとんだじゃないか!!


「開き直ったーー!」

全く、さとにぃの件で開き直ったのは、どちら様ですか!?

そして、思ってもみなかったところで、いつも爆弾を投げる。

今日は……。

「それにしても、あの人はいつ、真奈実の彼氏になるのかねぇ」

「んグっ、ゴホッっっ……」

どかーんんん!! はい、爆弾はいりましたー。

あたしは、思いっきり変なところにご飯をつまらせる。

ちょっと、ガチで死に追いやるつもりですか!?

「……あのねぇ!! あたしは、そんなこと、考えて……」

おたおたするあたしの言葉を、ルミちゃんはスパッと切る。

「言い切れるの? 考えたことないって。自分の好きな人と、恋人同士になるところ」

それは……。ある。

思ってるだけで幸せなんて、うそだ。いつかは、自分の気持ちを言葉にして相手に伝えて、相手とつながりたいって、必ず思う。

本当は、あたしだって、思っている。藤村くんと、つながりたいって。

それは、何度も何度も、藤村くんと恋人同士になりたいって思った、なによりの証拠だ。

「あたしは、あるよ」

そして、ルミちゃんは、そのことをちゃんと知っている。

「あたしはさとにぃに、いつかはちゃんと、気持ちを伝えるわ」

……決意だって、しっかり固まっている。





あたしは?



あたしは、どうなんだろう?



逃げてるんじゃないの、あたし? 心の隅っこで、叫ぶ自分がいるのも、知っていた。



暗い部屋に、帰ってくる。

いつになく、気分が落ちていた。

もちろん、レンアイは友達と比べるものではないと、わかっていた。わかっていながら、比べてしまう自分がいて、そんなぐずぐずした自分が、あたしは。

きらいだ。

自分の情けなさに、涙がでてくる。電気もつけずに、床に座り込んだ。

窓の外で、雨脚が、強くなっていた。

制服のポケットから、フレディを探って、両手でつつみこんだ。


「フレディ……」



気持ちが伝えられるかって?


そんなの……。


「自信ないよ……」