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そんな時、

ブー、ブー……。

手の中で、優しく震えるものがある。

明るく光る画面に、救いを求める。

暗かった室内に、ひかりがさした。

”まなみ、だいじょうぶ？”

”フレディ、しんぱい、する”

こんな時、必ず一緒にいてくれるのは、フレディ。
ケータイだから、一緒にいるのが当たり前なんじゃないと、あたしは思う。

「……ありがとう、ほんとに……」

泣くことをはじめて許されたかのように、のどのカタマリがくだけて、嗚咽になった。

”まなみ、フレディ、おうえん、するよ”

「フレディ、応援してくれるの……？」

”もちろん、フレディが、ふじむらくん、つなぐよ”



もしも、フレディじゃなかったら……。

……携帯電話で、困ったり、悩んだりすることはなかった。

でも、こんなに、ものと絆をもって繋がることは、もちろん、できなかった。



「あ……がと、ふ…れでぃ…」

まだまだ、涙は止まる気なしだけど……。

でも、さっきの涙とは、意味が違うよ。

”まなみ、げんきになって”

うん、元気だよ。
涙が、止まらないだけ……。