コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: まるで磁石【参笑700いったー!! うれしーい(泣)】 ( No.200 )
- 日時: 2013/03/22 18:11
- 名前: 春歌 (ID: cakHq5Qm)
〜真奈実〜
”まなみ、いま!”
「え、い、今、送るの!?」
30分ほどで、そのときが来た。フレディからの、メールが届く。
保存しておいたメールを慌てて開くと、もう一通、フレディからのメールがきた。
”いえ、ルミのいえ、いって、まなみ”
「い、家に行くの!? 直接会って、大丈夫かな……」
もしも、ルミちゃんが、許してくれなかったら……。
不安は、まだまだつきない。
”まなみ、だいじょうぶ、だよ”
「うん……」
”ゆっくりで、だいじょうぶ”
フレディの声に押されて、できるだけ、ゆっくりとしたくをした。
「真奈実ー、早く帰ってきなさいよー、ご飯になるんだから」
「はーい……」
玄関を出るとき、お母さんに言われた。ルミちゃんは今頃、夕食のしたくをしているかもしれない。
ゆっくり歩いたのに、ルミちゃんの家は、やっぱり近い。
ドキドキする心臓を押さえて、チャイムをならした。
「はーい……。あ、真奈実ちゃん!!」
でてきたのは、さとにぃ。ジーンズ生地のエプロンをつけていた。
ルミちゃんじゃなくてよかったと、ホッっとする。
「こ、こんにちは」
それでも、緊張して、うまく笑えない。
「こんにちは。ルミだよね。今呼ぶから、待っててー」
そう言ってにっこり笑う、さとにぃ。
え、なんか、早いよ! こころの準備が……。
「ルミー。真奈実ちゃんだよー!」
さとにぃは、階段に向かって大声をだした。
あたしの足が、小刻みに震える。
さとにぃは、そんなあたしを見て、陽気な声で言った。
「あはは、けんかしたこと、聞いたよ。大丈夫」
ルミちゃん、さとにぃに話したんだ……。
少しだけ、力が抜けた。そうだよ、あたしだって、話きいてもらったじゃん!
階段の影から、ゆっくりと、ルミちゃんが現れる。
「ほら、ルミ。はやく」
せかされたルミちゃんは、さとにぃに背中を押される。まともに向き合ったあたしたちは、ふたり同時にうつむいた。
気まずい空気が流れて、あたしは少しひるんだ。
あたしは思わず、フレディを握りしめる。
フレディ、助けて! こ、声が出ないよ……。でも……。
藤村くんだって、励ましてくれたし……。
ちゃんと、謝んなきゃ。
大きく息を吸い込む。吐き出したとき、この言葉が、やっと出た。
「ルミちゃん、ごめんなさい」
「真奈実、ごめん」
……言えた……!
あたしとルミちゃんの声が、重なる。
伏せていた目線を、あげた。
なにか、言わなきゃ……。そう思って、言葉をさがす。
ルミちゃんと目があって、また、目を伏せそうになったとき——。
様子を見ていたさとにぃがすっとでてきた。
そして当たり前のように、ルミちゃんとあたしの右手をつかんで
……お互いの手を握らせる。
あたしとルミちゃんは、驚いた拍子に目があって……そらした。
「はい、仲直り!! あともう、リセットだよ。こっからは、いつものふたり、ね?」
にっこりと笑うさとにぃは、あたしたちのために、このときを待っていたのかもしれない。
あたしたちは、つながれた手に視線を落とす。
「……真奈実、手、ちっちゃいね」
ルミちゃんが、いつもより小さい声で、いつもの言葉を発する。
「そ、そんなこと、ないって」
慌てて、いつものように、切り返す。
視線が手に落ちているせいか、話しやすかった。
はずかしくて、ふたりとも目を合わせられない。
「真奈実、照れてんの?」
「ルミちゃんだって、なんか、手、熱くない?」
どちらからともなく、笑う。
こころにあった、黒いものや、不安、もやもやが、全部、溶けて消えていく。
ふたりで笑えば、笑うほど。
そして、後に残るのは……。
いつもと同じ、あたたかい気持ち。
「よっかた、戻れて」
そう口にすると、今度は、さとにぃが笑った。
「ほんと、珍しい子だね」
あたしには意味がわからなっかたけれど、ルミちゃんが口を尖らせて翻訳する。
「素直だねってこと」
いっきに頬が、赤くなる。ルミちゃんは、意地悪そうな笑みを浮かべた。
「りんごーー!」
「うるさい! ちょっと、ねぇ」
「うーん、ほんと、珍しいなぁ……」
「あ、ちょっと、さとにぃまで……!」
赤い頬は、どんどん熱っぽくなる。どうしようもなくなったところを、みかねたさとにぃが、ようやく助け舟を出してくれた。
「さ、じゃあ、夕食作ろうか! 真奈実ちゃんも一緒に!」
助け舟なのに、全然助かってない。
だって、あたし、料理無理だよーー!?
よほどあたしが困った顔をしたのか、さとにぃが言葉を足した。
「ぎょうざ、作ろう! 3人で」