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Re: まるで磁石【参笑900!! 1000まで行くぞ!!!】 ( No.241 )
日時: 2013/03/26 23:15
名前: 春歌 (ID: cakHq5Qm)

番外編を書いてみました!!

次の話が形になるまで、少しだけ、お時間を……。

今回は、「タコとイカ」です! いつもの延長線ですが、温かい目でお願いします!(笑)

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番外編{タコとイカ}

「ねえねえ、真奈実ー」

「うん?」

ぎょうざパーティ?をした、3日後。

お昼休みの時間になって、ルミちゃんは言った。

「今日は、美術室やめない?」

「なんで!?」

「ごめん、だって……」

あたし的には藤村くんを見ていたかったけど……。よっぽどなにかあるのかもしれない……。

「わ、わかった」

妙にドキドキしてしまうのは、ルミちゃんが相当困った顔をしていたからだ。

何があったのだろうか……?

あたしはお弁当をもって、ルミちゃんについていった。


「ここにしようかぁ!」

行き着いた場所は、人通りの少ない廃部した部室の中。

なんでこんなところ……?

ちょっと、気味悪くない?

「あ。あのー……ルミちゃん? 何でここなの?」

床にほこりは積もっていないし、比較的きれいな場所だった。

穴場っていったら、穴場なんだけど……。

「まぁまぁ。座って座って!」

言われたとおりにその場に座った。
お弁当の包みを開き、フタを開く。

あ、珍しい……。タコさんウィンナーだ!!

「いただきまーす!」

にこにこしながらタコさんウィンナーを頬張ると、ルミちゃんが笑った。

「真奈実、あんた、なんでそんなに嬉しそうにタコさん食べてんの?」

なんでって、だってー……

「え、だって、うちのお母さん、たまにしかいれないんだもん」

正直な答えを言うと、ルミちゃんは、いきなりあたしに抱きついてきた。

「かーわーいーいー! まなみーぃ!!」

「わ、ちょっと、やめてってばっ!」

ふわっと、シャンプーの香りがする。わ、な、なんか……。

「もー、かわいすぎてギュってしちゃうーー!!」

さらに力を込めて抱きしめてきたルミちゃんに、思わず叫ぶ。

「やめ、やめーー! 恥ずかしいから!」

ルミちゃんはまた、にやっと笑った気がした。

……すっぽりと、落とし穴にはまったことも知らずに……。

「あんた、あたしで恥ずかしがってたら、どーすんの? これ以上のことを好きな子にされたら、確実に意識飛びますよ、真奈実さん?」

ぶっしゅぅっー。顔が、恐ろしいくらいに熱くなる。

もうすでに、意識が飛びそうなんだけど!!

「……う、うるさ……い、もうっ!」

わわわわわ……!!!

半分想像していまい、泣きそうになるあたしに、ルミちゃんは言った。

「ごめんごめん、だって真奈実、超かわいいんだもん」

後ろを向いて、完全に潰れる。

「ちょー恥ずいよー……」

つぶやくと、顔がもっと火照る。あたしの顔がタコだよぉー。
自分の膝の間に、顔うずめた。

はっずかしいー……。なんで、あたしはまた、そんなこと——。


そうして、やっと。

ルミちゃんは、今日の本題を口にした。

「あ、そうだ、今日のお弁当にね……」

ルミちゃんが、パカッとお弁当のフタを開いた音がする。

……その瞬間!! 

失礼だけど、本当にお弁当のにおい!? それ!!

「くさっ!」

ひどい臭いが、部屋全体に広がる。

って! このにおいは……。

「するめ……入ってるの……」

申し訳なさそうに、ルミちゃんは言う。

「この臭いだから、ここなの!?」

振り向いて、反射的に弁当箱をにらみつける。臭いの元凶は、こいつかっ……!

タッパーに焼いたと思われるするめが、ご丁寧に裂かれて、一匹分入っている。

「そう、だから、美術室で食べなかった。だって、するめ食べて臭くなってるところなんて、藤村くんに見せたくないでしょ?」

「……あたしも食べるの?」

「当たり前じゃん!! ママとさとにぃの合作弁当だよ? ママ、久しぶりにあたしの弁当つくったんだから、食べなきゃ」

きっと、忙しいルミちゃんのママが早く起きて、手作りしてくれたのだろう。

「で、でも、なんで、するめ……?」

あたしは臭いに顔をしかめながら、ルミちゃんに尋ねると、ルミちゃんは言った。





「こいするおとめ」





「……? んん?」

なんでその単語?

「コイするオトめ」

今度は、「す」と「る」と「め」だけ、声を大きくした。

あぁ……!

「する、め」

って、超ギャグなんですけど!

「いいギャグセンでしょ? ふたりの恋を応援して☆って……ママ、嬉しそうだったー……」

ルミちゃんは、がっくりしながら言う。だんだん、臭いに慣れてきたよ。

「食べようか」

「うん……」

さとにぃ。なぜ止めてくれなかったの……。

おかげで、あたしは藤村くんを見逃したよ……。トホホ。

ふたりでするめをはんでいること以外は、いつものお弁当と変わらない。

ハミガキ、よくしなきゃなぁ……。あたしもルミちゃんも、いつも以上に思ったのは、確かだ。




でもなんか、するめがおいしい気がするのは、なんでだろう?