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Re: まるで磁石 ( No.28 )
日時: 2013/02/23 21:33
名前: 春歌 (ID: cakHq5Qm)

さて、どうしたことでしょうか……。

最近、心臓がバクバクするんです。

藤村くんと、話をすると……。



「えぇ!! 真奈実、それって、つまりは……」

今日は、屋上でランチ。
ほんとに、屋上でよかった。ルミちゃんの大声が、教室に響きわったたりしたら、大惨事である。
なんせ、藤村くんは同じクラスで、あたしの隣の席だから。


「藤村くんに、恋、っと、い、言うことになります。以上、報告、終わりっ!」

恋、なんて単語、使ったら、自分でも赤くなる。

だから、この話題、もうしたくなかったけど……。

ルミちゃんが、許すはず、ないのである。

「記者会見! フラッシュの点滅に、ご注意ください! パシ、パシパシ!」

ご丁寧に、カメラのシャッター音までつけて。ルミちゃんの調子は、言うまでもなく、元に戻った。
人があんだけ心配したのに、それ以上のかたちになって、学校生活に復帰したようである。

まったく、別にいいんだけどさ…。
ルミちゃんには、笑顔が似合うよーだ。

「真奈実さん、今後の予定をお願いします、パシパシ」

ルミちゃんは、デザートだと思しきバナナをマイクの代わりにして、こちらの口元に向ける。

ほんのりと、バナナのにおいがした。…あたし、バナナ、あんまり好きじゃないんだけどなぁ…。

「えー、うっほん(咳払い)。み、未定です。あ、携帯の、あ、アドレスぐらいは、拝借したいな…と……」

「パシパシパシ! やりよるのう、おぬし」

「お代官様ほどでは、ありませぬ」

「わしはまだ、レンアイなど、したことないぞぅ」

「うそつけ、あるでしょう。1回くらい。人を好きになったこと」



う、なんだ、この沈黙は……。

ルミちゃんが、バナナの皮をむきはじめる。

6月の、梅雨入り前の、肌にはりつくような風が、あたしたちの間を吹き抜ける。

やだ、ルミちゃん、どうしたのー!?



「真奈実」

「は、はいっ」

緊張する。なんか、まずかったかな…?

「あたしは、あんたのこと、本気で好きだよ…」

いつになく、真剣な顔でそんなことを言うから。バナナ、食べてるけど。

「おまえのこと、好きだぁぁぁ! 変なんじゃなくて!」

「うわ、バナナくさいからやめろぉぉぉぉ!!」

いきなりルミちゃんが、抱きついてくる。いつものおふざけモードで。

でも、さっきの、本気? 
それだったら、うれしい。あたしもルミちゃんのこと、好きだし。

「…って、藤村くんに、いつかされたいねぇ、真奈実?」

「うっ…ちょ、人の恋で遊ぶな!!」

あたしのほっぺが、どんどん赤くなっていく。りんごとか、ゆでだこみたいに。や、やだ、あたし、変な想像してるっ!? だ、抱きつかれるとか……!!?

「キャー! 真奈実、かわいいー!」

「うるさいーー!!」

ルミちゃんは、あたしを抱きしめる力を強くして、「応援するよー!!」と言ってくれた。


…もう、いつもこうなる。