コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: まるで磁石【参笑1200!! 2000まであと800!!】 ( No.295 )
- 日時: 2013/04/03 10:07
- 名前: 春歌 (ID: cakHq5Qm)
”おお、フレディ! おはよう!”
”うん、おはよう”
この声は……。
「おはよう! 藤村くん」
「おはよう」
”なんだお前、元気ねぇなっ!!”
藤村陽太、まなみいわく、藤村くんの携帯電話。
”そんなことはない。藤村の元気が無駄にあるだけだよ”
藤村は少々元気すぎるところがある。悪いやつでは、断じてない。
”んだよ、それっ! つれねーなー。なんだ、恋わずらいか!?”
”コイワズライ? なんだい、それは?”
はじめて聞いた言葉を復唱する。まなみたちの会話にも、でてきてない。
”おまっ、恋わずらいも知らないのか!?”
”うん、まぁ”
まなみたちの会話にでてきてないのだから、当たり前だ。
”さすが、ピンクだな”
”関係なくない? それ”
怒気を含んだぼくの声に、藤村は率直に謝る。
”うそ、ごめん、冗談”
ぼくのバカにされる要素は、もうひとつある。
それは、ぼく自身の色がピンクであることである。
ぼくらの世界から、まなみたち人間の世界を見ることはできない。見る機会があるとしたら、ぼくらケータイで写真かムービーを撮ったとき。
それ以外の方法はないとされている。
それなのに、こちらの世界でもあちらの世界でも、ピンクは女の子の色だとされている。
そして、まなみたちの話から流出したのか、ぼくがピンクであることがみんなに知られている。
ぼくですら、確証がないというのに。
『フレディって、男の子でしょ? なのにピンクなの??』
同じピンクの女の子から、よく言われる。
『そうらしいね。でも気に入ってるよ』
『そうなんだ』で終わってくれるのは、いいひとだ。
でも、勝手に変なふうに見て、遠慮のないやつはこう言う。
『なんか、変なの』
ああ、悪かったな。男なのにピンクで。なんだっていいじゃん、そんなの。
内心、訊かれたときは毒づく。そして、必ずこう思ってしまう。
こいつの飼い主が、まなみじゃなくてよかった、と。
そんなことを幾度となく思ってしまう自分が嫌だから、好奇で訊かれる話には受け答えしないと決めている。
それに、ぼく自身は、まなみに拾われて大切にされているのだから、ピンクでも問題ないと思っている。
”ねえ、その恋わずらいって、なんなの?”
”おっほん。それはな……”
藤村が咳払いをする。
”恋をして、好きな人が好きすぎて、思い悩むことを言うんだぞ”
そもそも、ぼくは、恋というものをしらない。
”ふーん。恋って、なんなの?”
”自然と、その人のことを好きだと感じること。男だったら、そいつのことを守りたいとか、思うことなんじゃないの?”
”……よくわかんないね”
”俺も、陽太がよく友達と話してるの、聞くだけだけどな”
どうやら、まなみやルミがよく話しているのと、同じ感覚のことらしい。
まなみはよく、頑張るっていうけれど……。
恋って、いっぱい頑張らないといけないのかな?
……なににせよ、ぼくはまなみのすることを応援する。
それにしても、ぼくら携帯電話が、そのような感覚になるのだろうか?
ぼくは、そのあたりを藤村に訊いてみる。
”藤村はそういうの、自分で思ったりするの?”
”……まぁ、な。あるっちゃある。好きだなって、思ったりはする”
ぼくらの世界にも、恋はありか。容姿とかないのになあ。
藤村は、その人のどんなところに惹かれたのだろう?