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Re: まるで磁石【参笑1300!!サンプルボイス募集! 】 ( No.329 )
日時: 2013/04/14 20:57
名前: 春歌 (ID: cakHq5Qm)



もー、まなみ!

ちーこーく、するぞーー!!

今日は、いつもよりまなみの寝起きが悪かった。

いつもは10分で起きるのに、今日は20分叫び続けた。

まなみってば!!

起きろ起きろ起きろ!!!

ようやく起きたまなみは、うるさく叫ぶぼくを止めた。

………。

いつものおはようが、ない。

なんで……?

いつものカーテンを開ける音も、眩しい朝日も、感じない。

……なんで?

まなみ、なんかしゃべってよ!!


ついには、まなみの動く音も、しなかった。

二度寝なんて、まなみはしない。

いくら起きなくても、二度寝だけはしなかった。

疲れてる? まなみ、なにかに疲れてるの?

”どうしたの”

さすがに心配になって、文を送った時だった。

「ふれでぃ……お、はよ……ゲホッごほっ」

いつもよりかすれて、ちいさくなった声が聞こえた。

「かぜ、ひいたかな……。学校、いかなっきゃ……ごほっ」

ちいさくて、ちいさくて、やっとぼくに届くまなみの声は、ひどく弱々しかった。

咳だけが、大きく聞こえるまなみの声は、聞いててまなみよりつらくなる。

”やすもうよ”

ぼくがそう送っても、返ってくるのはつらそうな咳の音だけ。

実際、なにか言ったようだけれど、言葉は、ぼくには届かない。

不安なまま、ぼくは、まなみの制服のポケットに入った。

「行こうか……はぁ、はぁ、ふれでぃ……げほっ」

ぼくは、不安で不安でしかたなかった。

誰か! まなみを助けて……!

叫んでみても、誰にも届かない。

ぼくは初めて、自分が携帯電話であることをじれったく、そして、何もできない自分を情けなく感じた。