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Re: まるで磁石【参笑1400!!サンプルボイス募集! 】 ( No.334 )
日時: 2013/04/28 10:30
名前: 春歌 (ID: cakHq5Qm)



ルミの心配する声が聞こえてくる。

「真奈実、無理しすぎだよ。家に帰んなって」

まなみの声は、小さすぎて、まわりの音にかき消されていた。

今日の声では、まなみの感情の変化を読むことも、ぼくにはできない。

ぼくには、まなみの喜びも、悲しみも、察してあげられないのだ。

”どうしたの? あなたの飼い主さん、声聞こえないみたいだけど?”

榎本さんが尋ねてくる。

”声出ないんだって……”

”風邪引いたの?”

”……そうらしい。休めって言ったのに、全然聞いてくれなくて”

”それは、問題ね”

”うん。一応、心配はしてるんだけど”

ぼくがそう言うと、榎本さんが吹き出した。

”なんで笑うの!?”

”ごめん、ごめん! フレディ、一応じゃないわよ、あんたの心配はぶりは”

”だって……”

元気がないまなみも、声のないまなみも、全部まなみであって。

そのまんまでもいいのに、そんな状態でも、元気な自分でいようとするから。

ぷっつりと、糸が切れてしまうかもしれない……。

特に、今日みたいな、具合の悪い日は……。

”なんか、あんた……”

榎本さんが、言う。

”え?”

”……なんでもない”

また言いかけて、やめた。

”とにかく、今日は真奈実のこと、気にかけておいたほうがいいわよ”

”言われなくても、気にかけるよ”

”さすがね”

からかいでもなんでもなく、榎本さんはそう言ってくれた。