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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: まるで磁石【第6話〜マグカップ〜さとにぃ編、開幕!!】 ( No.365 )
- 日時: 2013/08/11 21:09
- 名前: 春歌 (ID: IPhHYvUG)
ルミは昔から、妹のような存在だった。
人懐っこくて、いつでも「さとにぃ」って、大きな目をいっぱいにきらきらさせて、ついてくるような子だった。
大学の4年間は、いつでもそう、
「しゅくだい、教えて!」だの、「いっしょにあそんで!」だの……。
大学は単位制だったから、テストの時期になるとルミの母親が「さとにぃは忙しいんだから」と止めに入るほど、ルミと俺は兄妹だった。
あのときのルミは小学2年生で、まだまだ幼かったのもあるだろう。
「さとにぃとけっこんするー!!」……これが口癖になりかけた時期もある……。
「”結婚”の意味知ってるー?」……俺が冗談で聞くと、
「うーんとね、えーとね」
幼いルミは両親の共通点をうんうん考えて、こう言った。
「いっしょにくらすこと?」
そんなこと言ったら、今も昔も結婚してることになっちゃうんだけどな……。
そんな俺の苦笑いをルミは覚えてないだろうし、
なにしろ今のルミは……。
「さとにぃ!!」
「どうしたの?」
台所からのヘルプにかけつける。
「失敗した……」
どうやら、オムライスをひっくり返すのに失敗したらしく、珍しく涙目である。
すっかり卵が破けてしまってご飯が出ていた。
「あらら、2個目作ろう。今度はうまくいく方法、教えてあげるから。そっちは俺が食べるよ」
ずっと自炊はしていたので、料理はルミの師匠である。
「ほんとに?」
「うん、まだお母さんたちの分作ってないんだから、頑張ろ」
「うん!」
__レクチャーしながら思った。
……いや、今も、あんま変わってない……かな?
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