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Re: まるで磁石 ( No.86 )
日時: 2013/03/06 19:47
名前: ツ春ツ会ソス (ID: cakHq5Qm)


「る、ルミちゃん……?」

お昼休み、例によって、あたしたちは屋上にいる。

だいぶ暑くなってきた。午後の屋上は、日陰がちょうどいい。

「ほ、方向性が、ち、違う気がするのは、な、なぜでしょう……?」

ルミちゃんって、本当のレンアイ初心者?
いや、そりゃあ、あたしだって、人のこと言えないけどさ……。

「いいのよ、胃袋つかむって、よく言うじゃなーい?」

ルミちゃんが手にしているのは……。


”簡単、おいしい、夕食ベスト100”


と、いうタイトルの雑誌。

し、しかも、夕食ですか…!? 弁当とかのほうが、まだ現実味があるような……。


いや、確かに、男は胃袋をつかんで……とかなんとか言うけどさ…。

でもそれって、付き合ってからじゃないの!? って言うのは、あたしの勝手な解釈かしら…?


それともルミちゃんは、順番を逆転して、斬新なスタイルで恋と戦うのか…?


「わ、わけわからんよ、ルミちゃん……」

「いやー、あたし、料理だけは自信あんのよねぇ」

あたしのぼやきを完全に無視して、料理雑誌を集中して読み込む。

たしかに、ルミちゃんの料理はおいしい。毎日のお弁当だって、ルミちゃんが自分でつくっているくらい。
ルミちゃんが、自分の料理の腕を武器にするのも、うなずける。


あたしも、そういうことしないと、藤村くんは……。


って、あれ、あたし、ルミちゃんの斬新さにのみこまれてる!?

ルミちゃんは、眉間にしわを寄せる。

「ほうれん草。しょうゆ、すりごま……、うーん」

こんなことつぶやくルミちゃんって、もう草宮さんのお嫁さんなのでは……。

……なんて言ったら、赤くなるルミちゃんが見られるかしら?


少し意地悪な自分は、こころにしまっておく。