ALLジャンルのオリジナル小説、ライトノベル、二次創作、ss小説やイラスト投稿なら「小説☆カキコ」

episode6「夕焼けの空。」〜遥side〜

「……で、ここが長篠の戦いの重要なポイントです。みんな覚えておくように。」

ふぅ…。
2年生になってから何かと海と話す事が増えた気がする。
最近はお互い近い地区試合について話したり、好きなスポーツメーカーについて話したり。
ま、単なる良いバスケ仲間だけど。
ちょっと気になる存在でもある。

そんな風に考えてた4月最終日のある日のこと。

「…遥？聞いてる？」

「あぁ、うん。」

この人は私と学校が一緒だった間宮　桃花(まみや　もか)ちゃんだ。
同じバスケ部で、結構良き仲間。

「そうそう、遥知ってる？」

「何を？」

「なんかー。大和君、北条さんと噂出てるの。」

「噂？」

「なんか、付き合ってるんじゃないかーって。」

「………ホント？」

「わかんない。まだ噂の段階だから———。」

「…ごめん！私ちょっと外周行ってくる！」

「えっ、遥どうしたの？」

即座にランニングシューズに履き替えて学校周辺を走り出す。

……桃花の前では平静を装ったつもりだった。

だけど、内心ショックだった。……

……まさか彩夏と噂が出るなんて————————。

あれ？なんで好きでもない相手にこんな動揺してんの？

「まさかっ。ねっ。」

自分にそう言って落ち着かせる。

だってこの方法しかこの気持ちを抑えられるのはない。

複雑で心が痛みながらも私は夕焼けで真っ赤に染まった夕空をただ闇雲に走っていった——————。