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5話


やだやだやだやだ———
お兄ちゃん助けて…


「リマちゃんってもう俺のものだよね。なのになんで嫌がるの？」

「プハァ———」


ふさがれていた口をやっと解放してもらえた。


「何で？」

「わ、私は利樹さんのもの何かじゃありません！」

「ふ〜ん、ならなんで俺とヤッたの？？」

「え…それは、覚えていなく「あーそ、君はそういう人なんだね。なら俺の手でもう一度———」


や、やだ！


———バーンッ


そこにはお兄ちゃんがいた。
お兄ちゃんは利樹さんを何度も何度も殴っている。


「お前、リマに…！」

「ゴホッゴホッ———！」


このままじゃ利樹さんが死んじゃう。


「やめて！！！」


お兄ちゃんは利樹さんを離すと私を抱きしめた。


「お前辛かっただろう？」

「う、うん…ヒック———」


私はいつの間にか泣いていた。
苦しかったよ。
でもあなたが助けてくれたからもう大丈夫。


「で、お前リマに何をした！？」

「俺は何もしてないよ…」

「は？」


どうして…？
私は覚えていないけど利樹さん私としたんでしょ？


「で、でも利樹さんさっき———」

「あー、アレ嘘だから。どうしても君が欲しくて…でもまだ俺はあきらめないからね。」


———ガチャン


利樹さんが家から出ていくと私はホッとして涙が出た。


「リマ、『さっき』って…？」

「ううん、何でもないよ。それにしてもありがとう。」


私達は自然とキスをした。
優しいキス。
今初めて感じたよ。
幸せを…

だけどそれを壊す人がまたあらわれるなんて考えてもなかった。


5話　完