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12話


「お兄ちゃん、お帰り！」


「………」


思い切って言ってみたけれどお兄ちゃんは何も答えてくれない。
どうして…？
胸が苦しいよ。


「あのね、あのね、お兄ちゃん今日オムライス作ってみたんだぁ♪」


「…………」


どうして何も言ってくれないの…
どうして…？


「お、おにいちゃ———」


———バサッ


ソファに押し付けられる。
手首がいたい。


「ど…し、たの…？」


ドキドキ心臓が鳴ってうるさい。
なるたびに期待も膨らむ。


「お…にぃ———「お前、どうも思わないの？俺があいつと———」


え？？？
春美さんのこと？


お兄ちゃんは私の腕を離すと部屋に向かった。


どうも思わない？
ちがうよ。
ものすごく苦しいよ。
息もできないくらい…


どうして届かないのかなぁ…？


———ポタッポタッ


やだっ…！
泣いちゃダメ。
もうこの恋は終わりにするの。

最初から無理だったんだよ。
兄弟の恋なんて…


あきらめなきゃ…！


「っ……す、…き…やっ、ぱり…す、きっ」


貴方の顔が私の頭に焼きついて消えないんだよ。
でも、お兄ちゃんは春美さんを選んだんだよね…

なら何であんなことしたの…？
キスなんて————
しなければよかったのに…


でももう遅いんだ。
もう私には君しか見えなくなっているから。


12話　完