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気のせいだ。
きっと気のせい。
どうして…？
ドキドキするの？


「リマちゃん？」


「ご、ごめんなさいっ！」


その場からとにかく逃げたかった。
ドキドキするはずなんてない…
でも私は確かにドキドキしたんだ。


「はぁはぁはぁ———」


「リマ…？」


「えっ？」


そこにはお兄ちゃんがいた。
どうしてこんなときに…


お兄ちゃんは私の姿を見るとその場から立ち去ろうとしていた。


「待って！」


「！」


「お兄ちゃん…私お兄ちゃんの気持ちが知りたいの。だから教えて…」


「俺の気持ち…？」


「リマちゃん！急にどうし————「お前…何でリマといるんだよ？」


「えっ？」


「とぼけてんじゃねぇーよ！リマもリマだ。俺はこんなに隠してるのに。なんでだよっ！！」


———ボコッ


「ッ———！」


「やめてっ！」


お兄ちゃんは利樹さんを殴った。


「そうか、お前利樹の方持つんだな…じゃあな。」


「そ、それは————」


もうそこにはお兄ちゃんの影すらもなかった。


17話　完