コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

ダブルデート ( No.103 )
日時: 2013/04/29 19:31
名前: ゴマ猫 (ID: Mx34GQYU)

ある日の休日。
俺は有名な遊園地に来ていた。

「真一〜!!早く、早く」

数メートル先から手をブンブン振り、大声で俺を呼ぶ、かおり。

「おい、そんな急ぐなよ。遊園地は逃げないぞ?」

「分かってないなぁ〜。人気のアトラクションは早くパス取らないと、かなり並ぶんだから」

「何だか知らんが、あんまハリキリ過ぎると、途中でバテるぞ?」

「ふっふーん。私はそんなヤワじゃないよ」

得意気な顔で胸を張る、かおり。

「うーん、進藤さん楽しんでるな〜」

赤坂は少し後ろで、腕を組みながら呟くように言った。

「わぁ〜っ!!私、初めて遊園地来ました!!」

三波は、目を輝かせて感激していた。
高校生になって、遊園地来た事ないって珍しいよな。
かなり珍しい組み合わせだが、俺、かおり、赤坂、三波の4人で遊園地に来ていた。
何故こんな事になったかと言うと、話しは数日前に遡る。



昼休み。
今日は学食にするか、購買に行くか、悩みながら歩いていると、後ろから澄んだ声がかかった。

「水島さん」

「おぉ、三波か。どうした?」

「お昼まだですよね?良かったら一緒にどうですか?」

セミロングの綺麗な黒髪に、顔のパーツが整った校内No.1美少女だ。
もし、テレビに三波が出てても何の疑問も持たないだろう。

そんな三波に、昼飯を誘われて勘違いしない男子が居るだろうか?
まず居ないだろう。

だが、俺はとある事件から三波を助けた(と言えるか微妙だが)と言う事で、こんな風に気さくに話しかけてくれたりする。
故に勘違いはしない。

「あぁ、構わないぞ」

「本当ですか?嬉しいです」

周りに花でも咲かせるかのような、笑顔を見せる三波。
か、勘違いしないぞ。

「じゃあ、学食か購買行く?」

「いえ、お弁当作ってきちゃいました♪もちろん水島さんの分もありますよ」

「えっ?また作ってきてくれたの?」

「はい。水島さんと一緒に食べたい気分だったもので」

「…………」

なんて良い子なんだ。
まさか2回も三波の弁当を食べれるなんて。
そう感激していると、また後ろから声がかかる。

「真一〜!!一緒にお昼食べよ!!」

聞き慣れた元気な声。
幼なじみのかおりだった。

「ありゃ?三波さん?ちょうど良いや。一緒に食べよ?」

「はい。もちろん良いですよ」

笑顔でそんなやり取りをする2人。
あれっ? 2人いつの間に仲良くなったんだろ?

「へっへーん。真一〜、かおりさんのお弁当食べたいでしょ?」

笑顔で死の宣告をしてくるかおり。
闇弁当の恐怖再び!!
この間、これでケンカしたので口が裂けても、食べたくないとは言えない。

「……ウワー。ウレシイナー」

「何よそれ?全然嬉しそうじゃないよ」

知らず知らずのうちに、棒読みになってしまった。
それを聞いて、少しかおりはご立腹のようだ。

「いやいや、そんな事はない!!嬉しい!!嬉しいぞ」

「そう?なら良いんだけどさ」

ふぅ、ケンカはもうごめんだからな。
そんな事していると、赤坂が横を通った。

「いや〜、美少女2人に囲まれて羨ましいね〜水島」

「赤坂っ!!お前も来い!!」

赤坂の首根っこを掴み、強制連行する。
赤坂にも、闇弁当の恐怖を味わってもらおう。

「うわ、何すんだ水島!!俺はこれから購買に……」

「良いから!!購買なんていつでも行けるだろ!!」

そんなこんなで、俺達は屋上に行き、珍しい組み合わせで昼食を取る事になった。


「はい、真一、赤坂君どうぞ」

相変わらず黒色の弁当で、もはや原形がない。
しかし今日は食わないといけないだろう。

「……いただきます」

「いただきます」

俺と赤坂は同時に闇物質を口の中に入れる。
ねっとりとした食感と、焦げたような味が口の中にまとわりつく。

「どう?どう?」

期待したような眼差しで、俺達を見つめるかおり。

「……美味いよ。進藤さん」

赤坂は泣きながら(もちろん美味くて泣いてる訳ではない)そんな事を言った。
……コイツ勇者だな。

「えへへ、ありがとう赤坂君。真一はどうなの?」

「……うん……うん。良いと思うぞ」

俺も涙目で言った。
この味は、多分一生忘れないだろう。(違う意味でだが)

「あの……私のもどうぞ」

控えめに弁当を出す三波。
三波の今日の弁当は、ミニハンバーグに玉子焼き、ほうれん草のゴマ和えだった。

「いただきます」

「いただきます」

2人同時に食べる。

「う、美味いよ!!三波さん!!」

赤坂が目を見開いて感動する。

「うん。めちゃくちゃ美味い」

俺も赤坂と同じ意見だった。
前回のサンドイッチも美味だったが、やはり日本人は白飯にこういったおかずが良い。

「なーんか、私の時と反応違うなぁ〜……」

かおりは若干不服そうだったが、三波の弁当をつまんで、美味い、美味いと叫んでいた。
そんな賑やかな食事も終わり、食休みも兼ねて俺達は雑談をしていた。

「今度の休みにでもさ、みんなでどっか遊びに行きたいよな」

赤坂がそう切り出す。

「あぁ〜良いね!!賛成!!」

かおりはすかさず同調する。

「良いですね。私も皆さんと遊びに行きたいです」

三波も同じ意見のようだった。

「けど、遊びに行くってどこに行くんだよ?」

この辺に1日遊べるような、レジャースポットはない。
電車で行けばあるが、交通費も結構かかってしまうため、それも難しいだろう。

「確かにな、1日遊べる所って中々ないよな」

赤坂も頷いた。

「あっ、でしたら……私に考えがあるんですが」

三波の提案に乗り、この数日後、俺達は遊園地に行く事になったのだった。