コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- ダブルデート2 ( No.104 )
- 日時: 2013/04/29 19:36
- 名前: ゴマ猫 (ID: Mx34GQYU)
「でも三波、本当に良かったのか?」
「えぇ。無駄にしてしまうよりずっと良いですよ」
俺達がここに来れたのは理由がある。
三波のお父さんが、仕事の関係で、ここの遊園地のチケットを毎年貰ってるらしいのだが、三波の両親は仕事で忙しく、来れずに無駄になってしまう事が多いのだとか。
それならばと、三波の提案でチケットを使わせてもらう事になったのだ。
「いやぁ〜、三波さんのおかげだな」
「うん。本当だね!!」
久しぶりに遊園地に来れたせいか、かおりと赤坂は上機嫌だった。
「喜んでもらえたなら、私も嬉しいです」
三波は2人の反応に、少し照れくさそうに笑っていた。
「じゃあ、始めはどっから行くか?」
「ちょっと待ったぁ!!」
周りが驚くくらいのデカい声をあげ、挙手をする赤坂。
「なんだよ?」
「せっかく男女2人づつで来てるんだから、ペアを組んでまわらないか?」
「何で?別に4人で行動すれば良いだろ?」
4人で来てるのに、2人組で別行動なんてしたら本末転倒じゃないか。
「水島。……ちょっと」
赤坂が手招きをして俺を呼び、かおりと三波から少し離れた所に行く。
「……何だよ?」
「何だよじゃねぇよ。せっかく俺がナイスアシストしてんのに」
「どういう事だ?」
赤坂の言ってる意味が、さっぱり分からん。
「だーから、俺が三波さんと組むから、水島は進藤さんと組めって事だよ」
「ん?なるほど……!!そうだったのか赤坂」
「うんうん。やっと分かってくれたか」
「いや、すまない。友人として、そんな事にも気付いてやれなくて……」
俺は何てバカなんだ。
赤坂の想いに気付いてやれないなんて……。
「……いや、そんなに激しく落ち込まなくても」
「……でも赤坂、水くさいぞ?三波の事が好きならそうと、言ってくれれば良いのに」
俺がそう言うと、赤坂は口をあんぐり開けて、まさに開いた口が塞がらないっという状態だった。
「はぁ〜〜、水島、お前って本っっ当に鈍いんだな」
「えっ、何で?」
訳が分からん。
もしかして違ってたのか?
「はぁ〜、もう良いや。水島に説明してたら、朝食が夕食になっちまう」
赤坂は盛大に溜め息をつき、とりあえずペア決めの時に進藤さんと組めとだけ言ってきたのだった。
そんなやり取りを終えてペア決めを行い、当初の予定通り?
俺がかおりと、赤坂は三波とっという組み合わせになった。
「じゃあ、お昼頃にこの時計台で待ち合わせな」
赤坂の合図で、俺達はそれぞれ別方向に歩き出した。
ペア決めの後、三波が浮かない顔になってたのは気のせいだろうか?
俺とかおりは2人並んで歩き出す。
はずむような足取りで、終始上機嫌なかおり。
「何だ?今日は随分機嫌が良いな」
「そうかな〜?」
「あぁ。今にも走り出しそうなくらいだ」
「あははっ、何それ?」
やっぱり機嫌良いよな〜。
久しぶりの遊園地で、テンション上がってるのかな?
その後、主要なアトラクションを一通り乗り終えると、お昼近くになっていた。
「さて、そろそろ待ち合わせ場所に行くか?」
「あっ、最後にあそこだけ行こう」
そう言って、かおりが指差した場所はホラーハウスだった。
コースター系や、キャラ物のアトラクションが人気の中、このホラーハウスは比較的空いていて、並ばないで入れそうだった。
「ん〜、じゃあ入るか」
「うん!!」
中へ入ると薄暗く、オカルトチックな内装で、いかにもホラーハウスという感じだった。
まぁ、こういうのに驚くのって雰囲気とかだしな。
優子なんて連れて来た日には、泣き叫ぶかもしれんが……。
「うわ〜、雰囲気あるね〜」
「ちょっと、かおりさん?」
「ん?何?」
「くっ付き過ぎ。もう少し離れないと歩きづらい」
かおりが俺の腕にくっ付くようにして歩くので、かなり歩きづらい。
ホラー系は苦手じゃないはずだけどな。
俺がそう言うと、かおりは頬を膨らませる。
「もう、真一は分かってないな〜。こういう所はくっ付いて歩くのがマナーなんだよ?」
「……そんなマナーは聞いた事がない。勝手にマナーを作るな」
第一そんなマナーがあったら、野郎同士で入る時どうすんだ?
完全に変な誤解されるぞ?
頭の中に浮かんだ、俺と赤坂のくっ付きシーンのイメージをブルブルと頭を振って振り払う。
「とにかく、これで良いの!!それとも嫌なの?」
「いや、別に嫌じゃないけどな」
しかし仮にも女の子なんだから、少し自重してほしいもんだ。
赤坂と来たら、かおりは同じようにくっ付くんだろうか?
なんかそれ嫌だな。
ん……?何で嫌なんだ俺?
「ほら、真一。早く進もうよ〜!!」
「あぁ、悪い、悪い」
その後、何ヶ所かで突然お化けが出てくるポイントがあり、怖いと言うよりはビックリすると言った感じだった。
それから急いでホラーハウスを出たが、時計台に着いた時間は大分遅くなってしまった。