コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- ダブルデート3 ( No.109 )
- 日時: 2013/04/03 23:21
- 名前: ゴマ猫 (ID: vysrM5Zy)
俺達が遅れて時計台に着くと、既に赤坂と三波は待っていた。
「悪い!!ちょっと遅くなっちまった」
「ごめんね!!」
俺が謝ると同時に、かおりも謝りながら頭を下げる。
「いいって、いいって〜。仲が良いのは、大変よろしい」
赤坂は笑顔で許してくれた。
まぁ、赤坂の事だからそんな咎めたりはしないと思ってたけどさ。
そんな中、三波は珍しく少々不機嫌な顔していた。
「……あの、三波も悪かったな。機嫌直してくれよ?」
「……別に、怒ってなんかないですよ?だから気にしないで下さい」
笑顔でそう言う三波だが、少々不機嫌な様子。
俺もしかして何かやったかなぁ?
とりあえず合流したところで、俺達は昼食を食べながら午後の予定を立てる事にした。
園内のカフェで軽い昼食を取る事にした俺達。
しかし、なんでこう値段が高いんだろな。
「さて、午後はどうするか?」
赤坂は園内カフェで買った、テイクアウト用紙コップに入った飲み物を飲みながら言う。
「あ、あの!!」
突然三波が、いつもより高めの声をあげる。
「うん?」
「午後は、その……ペアを入れ替えて行動しませんか?」
「えっ?まぁ、俺は構わないぞ。じゃあ午後は赤坂とまわるよ」
まぁ、女の子同士でまわりたいってのもあるんだろう。
赤坂は面白いし、基本的に紳士なところもあるから心配はしてなかったんだけど。
やっぱり三波はまだ慣れてないし、会話も続かなかったのかもしれないな。
「そうじゃなくて……水島さんとまわりたいんです」
「お、俺?!」
思わず飲んでいた、アイスティーを噴き出してしまいそうになってしまった。
「はい。……ダメですか?」
「いや、別にダメじゃないけど……」
何で俺なんだ?
新手のドッキリなのか?
そんな事を考えていると、隣りから鋭い視線が突き刺さってきた。
「……むぅ」
「……何だよ?何で急に不機嫌になってんだ?」
さっきまで上機嫌だったかおりが、途端に不機嫌になっていた。
山の天気みたいなやつだな。
「別に〜、じゃあ私は赤坂君とまわるから。真一はどうぞごゆっくり」
「……あの、進藤さん」
三波が不安げな表情で、かおりに近付く。
「大丈夫だよ〜。三波さんに怒ってるんじゃなくて、真一に怒ってるの」
そんな声が小さくだが聞こえた。
俺、何したんだろう?
「じゃあ、行こうか?赤坂君」
そう言うと、かおりはさっさと外に出てしまった。
「はぁ、水島、鈍いってのはもはや罪だな」
「だからどういう意味だよ?」
「悪いけど、これだけは教えてやれないからな」
そう言って肩をすくめながら、赤坂はかおりの後を追った。
あいつ……人の事鈍い鈍いって言ってるけど、一体俺の何が鈍いんだろうか?
「水島さん?」
「おわっ!?」
若干思考の世界にトリップしていたため、驚いてしまった。
「私達も行きませんか?」
「そうだな」
俺達も食べた後のゴミを片付けて、外に出た。
外を出て三波と並んで歩いていると、俺達に向けて周囲の視線が熱い事に気付く。
まぁ、もちろんこの場合俺達ではなくて、三波が注目されているのだろう。
三波は校内1の美少女でその人気は凄まじく、この間は、三波のファンの田中と山本から俺が最近仲良いからと言う理由で、嫌がらせを受けたくらいだ。
当然歩けば注目される。
学外でもそれは例外ではないのだろう。
「どうかしたんですか?水島さん」
「いや、何かこう……周りの視線が痛いな〜って」
ヒソヒソと、周りの声が聞こえてしまうから困りものだ。
『何であんな可愛い子の隣りがアイツなんだ?』とか、『地味顔が好きなのかな?あの子』とか。
俺からしてみれば、余計なお世話だコノヤローって感じなのだが、正直、釣り合ってないのは認めるしかない。
「気にし過ぎですよ。周りは、そんなに見てないです」
「いやいや、めちゃめちゃ見てるって!!」
「ん〜……じゃあ、えい!!」
三波はかけ声とともに、俺の手を握ってきた。
「ち、ちょっと!!何してんの?!」
「これなら、周りが気にならないんじゃないかな〜って思いまして」
いやいや、余計気になるから!!
いや……それどころじゃない。
女の子と手を握るなんて初めてなんだ!!
そんな事を考えていると、心臓の鼓動が急激に早くなってくる。
「あの〜、三波さん?恥ずかしいので、手を離して頂けると嬉しいのですが」
「私も恥ずかしいですよ?だから、おあいこですね」
照れくさそうに微笑む三波。
しかし離してくれる気はなさそうだった。
俺の心臓持つかな……?
しばらく歩いていると、午前中にかおりと入ったホラーハウスが目に入った。
そう言えば、かおりは今赤坂と行動してるんだよな。
このホラーハウスに入ったら、くっ付くのがマナーとか言ってたっけ?
俺は何故かまた、かおりと赤坂がくっ付いてるシーンを想像してしまい、モヤモヤした気分になる。
あれ……?
どうしてだろう?
何でこんなモヤモヤするんだ?
「水島さん?」
「へっ?」
三波の声で思考の世界から、現実に戻る。
「ダメですよ?デートの時にボーっとしてたら」
「デ、デートって……それに4人で来てるんだしデートって言わないんじゃ?」
不意にそんな事を言われたせいか、しどろもどろになってしまう俺。
「良いんです。こうやって手を繋いで遊園地デートするの夢だったんです」
「でも、相手が俺じゃね〜」
手を繋いでドキドキだったが、そういう理由なら納得。
ただ1つ相手が俺なのは不服だろうけどな。
「……水島さんだから良いんです」
「へっ?」
呟くような、本当に小さな声だったが、ちゃんと聞こえた。
それって……。