コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- ダブルデート5 ( No.113 )
- 日時: 2013/04/06 00:46
- 名前: ゴマ猫 (ID: vysrM5Zy)
観覧車から降りた後、俺達は赤坂達の所へ急いだ。
その途中に、園内で売っている急速充電器を買い、かおりの携帯を復活させて連絡を取り、待ち合わせ場所へ。
あまりに俺達が遅いから、本気で園内アナウンスの呼び出しをしようとしていたらしい。
ふぅ、この年齢で呼び出しとか、恥ずかしいから助かった。
この日は、時間もかなり遅くなってしまったので、俺達が合流したところで解散という事になった。
三波にさっき言いかけた事は何だったの?
と問いかけたが、『いえ、何でもありません』と言われてしまったため、気にはなったが、それ以上の追求はしなかった。
その帰り道。
「………」
「………」
赤坂や三波と別れ、俺とかおりは帰る家の方向が一緒のため、2人並んで夜道を歩いていた。
しかし、会話はなくただ黙々と歩を進める。
思い出すのは今日の出来事。
かおりが赤坂と一緒に居る事に嫉妬したり。
かおりと観覧車の中で抱き合った時、俺の心はドキドキしていた。
ゆっくりと……しかし、確実に俺の心は変化し始めていた。
そう自分で自覚出来た。
「……じゃあ、真一また学校でね」
「……お、おう」
いつもと違うぎこちない会話を交わし、俺達はそれぞれの家に着いた。
「ただいま〜」
玄関を開けてリビングに行くと、パジャマ姿の優子が椅子に座って待っていた。
「お帰り、お兄ちゃん。結構遅くなったんだね」
ちなみに今日はちゃんと遅くなる事と、夕飯はいらないという事を事前に伝えていたため、優子は怒っていないようだった。
「ただいま。まだ起きてたのか?」
「うん。お兄ちゃんが帰ってくるまでは起きてようと思って」
別にそんな事しないで、寝てても良かったのに。
そんな事を思いながらも、内心嬉しかったりする。
やっぱり帰ってきた時に、『お帰り』と言われるのは嬉しいものだ。
「そっか、でも寝てても良かったんだぞ?」
「別に良いでしょ〜。好きで待ってたんだから」
「はいはい。それより、早く部屋に戻って寝なさい」
そう俺が言うと、優子が少しむくれる。
「む〜、お兄ちゃん少しは、ありがとうとかないの?」
「ありがとう。いつも優子には感謝してるよ」
心に思ってる事を、素直に口に出してみた。
すると優子が慌てる。
「お、お兄ちゃんどうしたの?今日は何だかいつもと違うよ?」
「何が?」
「だって、いつもは私が言っても、そんな事素直に言わないじゃん」
そうかな?
まぁ、確かに思っててもあまり口には出してないな。
「あぁ〜、俺は疲れたからもう寝るわ」
何だか急に恥ずかしくなってきたので、俺は早々に部屋に退散したのだった。
ベッドに仰向けで寝転がって、また今日の事を思い浮かべる。
やはり、俺はかおりの事を意識しているのだろうか?
実は夕飯はゴタゴタしていたため、食べそこねていたのだが、優子には言うタイミングを逃し、また不思議とそんなにお腹は減っていなかった。
「……明日はかおりに何て話しかけようか」
今日のぎこちなさが、明日まで続かないように。
そんな事を考えながら、俺は眠りにつくのだった。