コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

黄昏の出来事 ( No.15 )
日時: 2013/04/29 15:47
名前: ゴマ猫 (ID: Mx34GQYU)

あの夜の校舎大脱出事件?から一週間が過ぎた。

あれ以来木原とは、少しだけだが話すようになった。
俺より1学年下な事、普段は超絶人見知りなせいか、友達がまったく居ない事(本人いわくそんな事はないらしい)
本が好きで、図書室の本を読みあさってる事とか(忍び込みはあれ以来やっていないらしい)
放課後は図書室か、本屋に居るとか。

んでまぁ今日も図書室にて木原と話しているのだった。
別に会いたくて来てる訳ではなく、何となくだ。

「あなたも暇なのね。わざわざ私の隣りに来るなんて」

「暇じゃねぇよ」
一応勉強してんだ。
家だとついついサボっちゃうし、こういう所でやった方がはかどるし、木原とも話せるもんな。

ふんっとつれない表情をするが、席をズレたりしないところを見ると、嫌われてはいないようだ。

しばらく黙々とやっていると、気付けば完全下校時間になっていた。

「もうこんな時間か……」

「お互い集中していたようね。そろそろ帰りましょう」

木原と俺は家が逆方向なので、校門前で木原と別れて俺は家路に向かって歩き出す。

「今日は久々に集中したし、甘いもんでも食いながら帰るかな」

そう思って商店街に向かい、甘味を探す。
そういや優子が美味いって言ってた店があったな……確かこの先だったはず。

「この間は心配させたみたいだし、優子の分も買っていくか」

ここだ、ここだ。
えーっとラッキーフィッシュ? 何だ魚屋か?
どうやら、たい焼き屋らしいが、店の見た目と名前がアンバランス過ぎる。
店のマスコットキャラ、タイゾー君も気色悪い。

一応メニューを見てみる。

『大人気!!白玉クリームあんたい焼き』

なかなか美味しそうじゃないか。
これを2つ買っていこう。

「おっちゃん、この白玉クリームあんたい焼き2つね」

「あいよ!!300円ね!!」

お金を渡し、たい焼きを受け取る。
袋から1つ取り出すと、早速かぶりつく。

「美味いな!!」

店は変だが味は美味い。
頬張りつつ歩いていると、どこかで小さな悲鳴が聞こえた。
どうやら、今歩いている橋の下辺りからみたいだ。

「……なんだろう」

何だか気になって、悲鳴が聞こえた方に行き橋の下を覗き込んでみる。

すると5〜6人の男が、女の子に絡んでいる。

「……マジか?これヤバいんじゃないか?」

1対1でも危ういってのに、腕っぷしに自信がない俺が5人も6人も相手に出来る訳がない。
それにこの時間は人がほとんど通らない。

助けを呼んでいる間に、危害が及んだら遅い……かと言って見捨てるのは無しだ。

色々と考えたが結局行くしかない!!
意を決して飛び出す。

「おいお前ら!!何やってんだ!!」

俺が若干ビビりながら声を出して叫ぶと、リーダー風のオールバックの髪型をした男が睨んでくる。

「あーん?誰だお前?今忙しいんだ引っ込んでろ」

めちゃくちゃこえー!!
同じ人間とは思えないガラの悪さだなオイ!!
半ば半泣き寸前だったが、ここで引く訳にはいかない。

「そうはいかねぇよ。大の男がよってたかって、女の子1人にムキになって恥ずかしくねーのか!?」

そう俺が威勢よく言い放つと、男の目つきがキッと鋭い目に変わる。

「あん?お前誰に口聞いてんだ?早く消えないとぶっ飛ばすぞ!!」

帰りてー!!
もう平和に帰ってたのに何やってんの俺?
それでもカラ元気ならぬカラ強気で言う。

「そういう訳にはいかないんだよ。お前こそさっさと帰れよ」

「バカが……どうやらいっぺんぶっ飛ばされなきゃ分かんねーらしいな」

えぇーい!!
もうヤケだどうにでもなりやがれ!!

「このっ!!」

ヤケクソに突っ込んでいくがかわされ、キツくて重いパンチが俺の頭を揺らす。

鈍い痛みと口の中が切れたのか、鉄に似た血の味が口の中に広がっていく。
地面に倒れ込むように崩れ落ちると、男はさらに馬乗りになり一発、二発と俺の顔を殴りつける。

周りの他の奴らは笑いながら見ていた。
よく見ると女の子の姿は見えなかった。
上手く逃げられたんだろうか?

痛みがひどくて、もはや意識が朦朧としてきてしまった……その時遠くで声が聞こえた。

「お前らそこで何をしている!?」

「ヤベッ警察か?!逃げるぞお前ら!!」

足音が離れていく。
あぁ俺助かったのかな? ってかカッコわりー……そこで意識が落ちた。