コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

再会 ( No.29 )
日時: 2013/04/29 16:52
名前: ゴマ猫 (ID: Mx34GQYU)

翌日の俺は、好奇の目にさらされていた。

昨日の事件が、学校中に知れ渡っていたからだ。
どうやら現場をたまたま目撃していた、生徒から噂が広まったみたいだ。


「よっ、おたふく有名人!!」

赤坂が笑顔で話しかけてくる。

「嬉しくねぇよ。それとおたふくは余計だ!!」

ったく少しは友人として大丈夫か? の一言くらい言えってんだ。

「まぁまぁ、良いじゃねぇか!それにしても、お前がそんな事するなんて珍しいよな〜。いつもは絶対そんな事しないだろ?」

「それ妹にも言われたよ。でも、本当に成り行きなんだよ。だからそこまで騒ぐ事じゃないって言うか、それに俺ほぼ役にたってないしな」

実際本当に役にたってないのだ。
飛び出したは良いけど、返り討ちにあって助けた子に病院に運ばれてるなんて、情けない話しなのだから。

「ほぉ〜えらく謙虚だな」

意外そうな顔をする赤坂。

「本当の事だからな」

「そういやさ、進藤さん心配してたぞ。お前ちゃんと事情話したのか?」

うっしまった……かおりには、何も言ってない。
まぁ別に言わなきゃならないって事はないんだが、昔の事故以来、俺が怪我したとか聞くと異様に心配するんだよな。

「……昼休みにでも俺から話すよ」

また泣かれるのは嫌だしな。


そして昼休みのチャイムが鳴る。
さて、かおりのクラスに行かなきゃな。

「おい水島。二組の三波さんが、お前の事呼んでるぞ」

「へっ?三波さん?あの子ウチの学校だったの?」

間の抜けた返事をしてしまう俺。

「何、お前知らないのか!?三波さんと言えば学校1の美少女、男子の憧れNo.1だぞ!!」

すまんまったく知らなかったよ田中君‥‥。
あの時それどころじゃなかったしな。
確かに可愛い子だなとは思ったけどさ。

「すまん。ありがとう」

後ろで呪いのような言葉を呟く、田中君をスルーして三波さんの所へ行く。

「こんにちは水島さん。怪我の具合どうですか?」

まるで透き通った水のような声で語りかけてくる。

「あぁ、もう全然平気だよ……ってか三波さんウチの学校だったのな」

「三波、で良いですよ」

笑顔でそう言う三波。
呼び捨ては、かなり恥ずかしいのだが。


「私も昨日気づいたんです。ウチの制服を、水島さん着ていましたから」

まぁ、お互い接点ないもんな。

「んで今日はどうしたの?」

「今日は、水島さんに大事な用がありまして……」

俺に大事な用?
何だ?あんたはクズよ!!とか説教されるとか?
いや、そんな事を言われる事はしていない。
なら告白とか?
いやいや、無いだろ〜。
そんなん漫画とかドラマの中だけだろ。
しかしもしかしたら……と言う事も。

「大事な……用?」

一応聞き返してみる。

「はい。ここでは何なので屋上に行きませんか?」

これマジで告白じゃないの?
高校二年生にして、ついに初彼女なのか??
ついに俺にも春が来ちゃったのか?!

期待に胸を膨らませて、屋上へと向かう。

屋上へ着くと人は1人も居なかった。
意外とここは穴場なのだ。何故なら中庭の方が広く席数も多いし、食堂なら暖かい、屋上は風が強かったりで意外に寒かったりするし、何より屋上まで上がるのは少々面倒なのだ。

着くなり三波に聞いてみる。

「それで、大事な用って何なんだ?」

俺は最近にないくらいかなりドキドキしていた。

「それはですね……」

このタメが、余計に緊張感を加速させる。





「じゃ〜ん。お弁当作ってきたんです!!一緒に食べましょ?」

だよね、だよね〜。
告白なんて考えてた俺、バカでした。

だってさ三波さん、意味深な事言うんだもんさ。
考えたっておかしくないよね。

「あの〜……何で涙目なんですか?」

三波は困惑した表情で見つめる。

「いや、ちょっと目にゴミが入ってね」

ベタな言い訳をする。
しかし考えてみれば、学校No.1美少女、三波の手料理が食べられるなんて、本当なら号泣しても良いところだろう。
他の男子に見られたら刺されかねない状況だな。