コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- 遭遇(かおり編) ( No.37 )
- 日時: 2013/04/29 17:14
- 名前: ゴマ猫 (ID: Mx34GQYU)
屋上の扉を開けると、ベンチに座る2人の姿が見えた。
今まさに探していた、真一、そして三波さん。
2人の姿は、まるで付き合いたての、恋人同士のようにも見えた。
「……えっと、お邪魔しちゃったかな?」
そんな事を言うつもりはなかったが、口から出た言葉は皮肉まじりになってしまう。
「そんな事はない。今ちょうど、かおりの所へ行こうと思っててさ」
真一は、バツが悪そうにそんな事を言う。
こっちは心配していたのに、こんな所で女の子と仲良く昼食なんて……っていけない、いけない。ネガティブな思考は良くないよね。
「そっか、教室行ったらここだって聞いたからさ」
冷静を装いながら、話しを続ける。
気まずい沈黙の空気を切り裂くように、三波さんが口を開いた。
「あの……つかぬ事を伺いますが、お2人はどのような関係なんでしょうか?」
「へっ?真一と私の関係?」
いきなりそんな事を聞かれて、心臓が跳ねあがる。
どんな関係って言われても……。
「はい。とても仲が良いように見えたので、もしかして付き合ってるのかと……」
「付き合ってる?……その私と真一は幼なじみで、腐れ縁って言うか、何というか……」
それ以外に例えようがない。
それに真一は、きっと仲が良い幼なじみとしか思ってないだろうから。
「そうなんですか」
三波さんは、何だか意外という顔してるけど、悲しい事に事実なんだよね。
それはさておき、私には聞いておきたい事があった。
「三波さんこそ、真一と屋上でお弁当なんて、どうして?」
どう考えても、真一は女の子にモテるタイプではない。
ましてや、校内1なんて言われてる三波さんとだなんて、天地がひっくり返っても有り得ないと思う。
「水島さんは、私の命の恩人なんです。昨日はお礼も出来なかったので、今日はお礼にお弁当でもと」
「命の恩人?」
その言葉に、何だか胸がざわつく。
真一は私に近付くと、昨日あった出来事を話してきた。
「そっか、真一が助けた相手って三波さんだったんだ」
また無茶して……。
子供の頃から、変わらないな。
困ってる人を見ると、放っておけないんだよね。
でももっと自分の事も考えてほしい……。
「良かったら、進藤さんも一緒にどうですか?」
「私はいいよ。クラスにお弁当あるし、戻るね」
何となく、三波さんに嫉妬してたのかもしれない。
その場で一緒に食べようとは思えなかった。
私だってお弁当くらい作れるんだから……!!
そんな気持ちが私から離れなかった。