コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

日常の風景 ( No.4 )
日時: 2013/04/29 14:52
名前: ゴマ猫 (ID: Mx34GQYU)

「……やめよう。朝からこんな不毛な争いは」

そう言うと優子は、チラッと時計に目をやる。

「そうだね。本当に時間マズいし、お兄ちゃんも早く着替えて下降りてきてね」

そそくさと部屋を出て行く妹。

「さて、急ぎますかね」
呟きつつダッシュで着替えを済ませて一階へと降りていく。

一階へ着くと食卓には、トーストと目玉焼きとミニサラダが用意されていた。
妹は既に朝食は食べ終わったらしく、カチャカチャと食器を片付けていた。
俺は席に着くと急いで口の中にトースト、目玉焼きを詰め込みお茶で一気に流しこむ。

「ごちそうさん」

そう言うと洗面台に向かい、身だしなみを整える。

「ちょっとお兄ちゃん。また野菜残して……栄養偏るんだからね〜」

リビングで妹が文句を言っているがスルーしとく。
だって急いでる時は、野菜食いづれーもんよ。

一応一通りの準備が終わり玄関へ行く。
妹の方も終わったらしくすでに玄関に居た。

「じゃあ行くか」

「うん」

鍵を閉めると二人並んで歩きだす。
雲一つない青空だが、春の朝はまだ少し寒い。

「今日は母さんは?」

「今日も仕事で遅くなるみたいだよ」

「そっか」

家の家族は四人暮らし
父親は単身赴任中で、母親は仕事で朝が早くて、帰りは遅い。
いわゆる共働きってやつだ。
そんな訳で家には俺と妹だけって事も多い。
そのせいか、妹は最近やたらと干渉してくる。
根が寂しがりのせいもあるのだろう。
兄としては、優しい言葉の1つでもかけてやるべきなのだろうが、恥ずかしいと言うか、
そんなセリフを言えるほど俺は人間出来ていない。

「でも大丈夫だよ。夕飯の用意は任せてよ〜」

「おう悪いな。買って行く物とかあるか?」

「う〜ん特にないかな。そのまま帰って平気だよ」

「了解」

「じゃあ、お兄ちゃん私こっちだから」

「おう気をつけて行けよ」
そう言いつつ俺は足を早めていく。
妹は大きな丁字路を曲がった先に学校がある
俺は反対側なので、いつもここで別れるのだ。

しばらくすると、長い坂が見えてくる。
この坂を登ればゴールなのだ(夏場は暑くてこの坂は見たくないのだが)すると背中に超振動が走り抜ける。

ドゴッ!!

「ぐはっ!!」

「おっはよ〜真一!!朝から元気が足りないぞ」

「お前は朝から俺を殺す気なんですか?」

この朝から無駄に元気で背中に空手チョップを入れてきたのは、俺の家の近所に住んでいて、小さい頃からの付き合いの幼なじみだ。