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とある日の妹との休日旅行【番外編】 ( No.50 )
日時: 2013/04/29 17:47
名前: ゴマ猫 (ID: Mx34GQYU)

と言う訳で、妹の優子と一緒に、一泊二日の旅行に来ているのだった。

最初は母さんと優子だけが来る予定だったのだが、仕事の都合により来られなくなり、チケットをフイにするのは勿体無いので急遽俺が代わりに来たのだ。


「……旅館の名前も、ひなびたって名前なのか」

もう少し名前の付け方あったんじゃないか?


「め、珍しい名前の旅館だね」

優子の感想も同じようだった。
秘境と言えば聞こえは良いが、外観はかなりボロで本当に営業しているのか疑問を感じるくらいだ。

「とりあえず入るか?」

「う、うん」

中へ入ると、あちらこちらに古めかしい物が置いてあり、どこか昭和の雰囲気を感じさせる。
フロントに着くが人の気配はしない。

「すいませーん!!」

大声で呼ぶが応答はない。

「居ないのかな?」

首を傾げる優子。

「いや、ありえないだろ。それに場所は間違いないしな……」

ここまで来て、やってないとかは嫌だぞ。


「いらっしゃいませー……」

急に背後から、低い声がかかる。


「うぉっ!!」

「きゃあっ!!」

今まで人の気配はまったくしなかったのに、いきなり背後から声がかかり、大声で驚いてしまう俺と優子。

「どうかいたしましたー?」

低い声で話す番頭さんらしき人。
どうかしたじゃねぇよ!! 気配消してくるから驚いたろ!!

「いや別に……あっ、今日予約してた水島です」

「お待ちしてましたよー。どうぞこちらです」

番頭さんらしき人に案内されて、ついて行く俺達2人。
途中、廊下の一角の台座に置かれた人形を見つけた。

「何でこんな所に人形?」

見せるなら、もっと広くて目立つ所に置けば良いのに。

「わぁ〜。これ日本人形だね」

優子が人形に触ろうした瞬間に、番頭さんらしき人が大声をあげる。

「その人形に、触れてはなりません!!」

何だってんだ?
高価な人形なのか?

「あいや失礼……その人形は、ウチの旅館に代々伝わる呪いの人形でしてな。その人形に触れたり、動かしたりすると、その人に不幸が起こるのですよ」

「へぇ〜」

なんだ要するに迷信か。
悪い事が起こったら、その人形のせいだって決め込んで信じてる訳だ。
そんなくだらない迷信なんて、今時小学生でも怖がらないぞ。

「……うぅ……お兄ちゃん……」

居たぁ!!
そうだった優子は、こういう系めちゃくちゃ苦手なんだった!!

「だ、大丈夫だって優子。要は、その人形に触れなきゃ良いんだよ」

「そ、そうだよね。私この廊下絶対通らない!!」

いや、優子さんここ通らないと外出れませんよ。

「あっ申し訳ありませんが、お手洗いは一階にしかありませんので、ここ通らないと行けませんよ……」

サラッと追い討ちをする番頭さんらしき人。

「うぅ〜……私今日トイレ行かない……」

「大丈夫だって。明るい内に行けば良いじゃないか」

怖がり過ぎだろ。
その後、優子を宥めるのに30分もかかった。
人形なんてスルーしときゃ良かったな。