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とある日の妹との休日旅行【番外編】(優子編) ( No.54 )
日時: 2013/04/29 17:55
名前: ゴマ猫 (ID: Mx34GQYU)

少し時間がかかってしまった。
お兄ちゃんは待っててくれているだろうか?
慌てて、浴場を出るとそこには誰も居なかった。

「まだ出てないのかな?」

もしかしたら、遅いから先に部屋に戻ってしまったのかもしれない。
何だか急にまた不安になってきてしまった。

「だ、大丈夫。怖くなんてない」

ほんの数分のはずだが、もう何時間も待ったような気がしてしまい、不安が増していく。

「お、お兄ちゃんだってゆっくりお風呂入りたいよね。ここで待ってても怖いから部屋に戻ろう。後でメールしとけば良いんだし……」

そうだ。
あの場所さえ走り抜けてしまえば大丈夫!!
私は恐る恐る歩き出す。

そして問題の一角にさしかかった。

「怖くない、怖くない。大丈夫」

そう呟きながら一気に走り抜けようとするが、その瞬間何かに躓いて転んでしまう。

「わぁっ!!」

思いっきりコケて頭をぶつけてしまった。

「痛ったた……」

何となく気になってしまい、台座に置かれている人形の方へ目をやる。
すると、さっきまであったはずの人形が無くなっていた。

「ウソ……どうして?」

何度も見返すが、そこに人形は無かった。
その時、不思議な声が頭に響いた。

「あなたの身体少し借りるわよ」

そう頭の中で声がした瞬間、意識はあるのにまるで自分の身体じゃないかのように動かせなくなった。