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- とある日の妹との休日旅行【番外編】 ( No.62 )
- 日時: 2013/04/29 18:08
- 名前: ゴマ猫 (ID: Mx34GQYU)
「なぁ優子、1つ質問したいんだが良いか?」
体勢が抱き合ったままの状態で、俺は質問をする。
「なに?」
「お前いつも俺の事、兄さんって呼んでるよな?」
俺はちょっと、カマをかけてみた。
もし本当に優子なら、違うと答えるはずだ。
「えぇ、そうね」
かかった!!
「誰だお前?本物の優子は俺の事、兄さんなんて呼ばないんだよ」
見た目は同じ。
でも口調や性格は全然違う。
「……フフフッ、大人しく騙されていれば良かったのに……」
地の底から這い出てきたような、そんな低い声で呟く。
「……私はね、ずっと人間になりたかったのよ。この子は私と波長が合ったの」
おいおい。
ずっと迷信なんて信じちゃいなかったが、この声といい、話し方といい……どう考えても、優子に何かが、乗り移ったと考えるべきだろうか?
「そんな事はどうでも良いから、優子から早く出てけ」
とにかく、早々にお帰り願おうか。
人様の大事な妹に乗り移るなんて、この不逞の輩め。
「……兄さんは分かってないわね……その鈍さじゃ、早死にするわよ」
「やかましい。お前に兄と呼ばれる筋合いはない」
これ端から見たら、兄妹ゲンカしてるようにしか見えないんだろな。
「……いいわ。この子から離れてあげても」
「本当か?!」
話せば分かるもんだな。
「……でも、1つ条件があるわ」
「条件?」
条件って何だ?
とりあえず、優子が助かるならどんな事でもするぞ。
「……私にキスして」
空気が凍りつく。
一瞬何を言ってるか、分からなかったが、すぐに理解する。
「な、な、何言ってやがんだお前!!」
優子の体じゃなかったら、はっ倒してやるとこだ。
正体不明の化け物にキスなんて出来るかっ!!
……いやいや、見た目は優子なんだが……それはそれで非常にマズイ。
はっ!!
頬やおでこならOKじゃん!!
「……ちなみに、頬やおでこは認めないわ」
先に退路を断たれてしまった。
ちくしょー!!
なーんでこんな正体不明の化け物に、人生を左右しそうな選択迫られてんだ俺!!