コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 平均少女の恋 ( No.36 )
- 日時: 2013/07/03 20:03
- 名前: ミム (ID: r1bonIQR)
まるでスローモーションみたいに私の唇に近づいてくる。
だけどその時その光景は銀色の世界に変わった。
そこには私と城野蓮の顔の間に銀色に輝くトレーがはさんであったのだ。
お陰で私は城野蓮とは何も起きずにすんだ。
それにしても何で?
そう思って右に首を動かすとそこには坪井がいた。
坪井とはそう、あの俺様男だ。
坪井はにっこり笑うと「失礼しました」と言って去って行った。
だけどあの目が笑っていなかった事に私は違和感を覚えた。
「なんだよ、たくっ…おい行くぞ。」
「!」
いきなり城野蓮が私の手首を掴んできたのだ。
「ちょ、放してよっ!」
そういうが城野蓮はなかなか放してくれない。
「何よっ!?放してってば!」
「お前俺に勝てるとでも思ってんのか?」
「!」
そしてまた近づいてきた。
いったいコイツは何なんだ…!?
というか何が目的なんだ!?
もしかして私をメロメロにさせる気だな!?
「そうはいかないわよ!私はずっと白馬に乗った王子様を夢見てるんだから!」
「は?」
い、言ったぞ…!
これでコイツはやばい奴だと思って離れていくに違いない…!
「ぷ———」
ぷ?
「ぷっ、ははははは!!!」
「はぁ?」
「お前馬鹿だろ!?ていうか本物の馬鹿だ!ははは!!」
私は思わず目をパチクリさせた。
だってあの城野蓮がこんなに下品に笑ってるんだもん。
私のイメージではいつも悪魔のような笑みを浮かべて女の子を落としていくイメージがあったのに———
「って笑わないでよっ!私は嘘なんか嘘なんか嘘なんか———」
昔から嘘をつくのは嫌いだった。
たとえどんな人であっても嘘はつきたくない。
だけどこんな奴にまで嘘をつけないとは———
「嘘なんか?」
「ついてました。」
「マジか…って当たりめぇだよな。ていうか、お前おもしれぇな。マジ久しぶりに笑ったわ。」
へ?
目が思わず点になる。
だってさっきまで悪魔だった男がまるで少年のように笑っていたのだから。