コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 危険な猛獣(♂)拾いました。【*アンケート開始っ!*】 ( No.125 )
- 日時: 2013/03/30 15:56
- 名前: 珠紀 (ID: gnqQDxSO)
〜奈々side〜
大ちゃんに抱き締められた身体が暖かい。
…安心する。
私がそっと抱き締め返すと、ビクッと大ちゃんの身体が震えた。
だけどすぐに私を抱く力を強くした。
「奈々…」
「えっ」
いつも『山田』と呼ぶのに…。
「奈々…どこにも行かないでくれ」
「大ちゃん…?」
「俺から、離れないで。昔みたいにずっと俺だけを見て」
大ちゃんの震える声が私の耳に響く。
「…ん」
「ひゃっ」
いきなり耳にキスをされ、大きな声を出してしまった。
「だ、大ちゃんっ!」
「…何やってんの?」
聞き覚えのある声に私達は2人してビクリと身体が反応する。
「陽斗っ」
私が陽斗に駆けようとすると、大ちゃんに腕を掴まれる。
「…っ」
『行くな』
そう言っているような顔をして私を見つめる。
「…」
ギュッと片方の腕を陽斗に掴まれる。
「離せ…」
大ちゃんが低い声で陽斗を睨みつける。
「…何で2人して抱き締め合ってたの?」
「違うよっ!?さっき変な人に絡まれっっ」
私は話の途中で思いっきり大ちゃんに引き寄せられ髪をかきあげられる。
さっきキスされた方を陽斗に見せつけるかのように…。
「…キスマーク…」
「え!?」
陽斗の言葉を聞いて驚く。
…そういえば、さっき耳のしたあたりもキスされてチクッと痛んだような…。
真っ赤に顔が硬直していく。
「っーーーーーー…」
陽斗が目を見開いた。
ーダンッッ!ー
…一瞬だった。
私の後ろには大ちゃんが倒れている。
「…った」
陽斗が大ちゃんを殴ったのだ。
痛そうに起き上がる大ちゃんの口には血が流れている。
「あ…あぁ…」
血…
血は…ダメ。
血は…っっ!
『お母さんっ!お父さんっ!』
あの時の記憶が蘇る。
『もぅ、やめてっ!殴らないでっ!死んじゃうっ!!』
「や…やだ…やめて…」
両親が柄の悪い男の人たちに殴られて死んでしまうあの残酷な記憶がー…。
「…っ!」
私は陽斗に引っ張られ、引きずられるように歩き出した。