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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 危険な猛獣(♂)拾いました。〜彼は発情期〜 ( No.18 )
- 日時: 2013/03/10 21:21
- 名前: 珠紀 (ID: CSYaft37)
…あの時彼女に追い出されてから、彼女の顔が頭から離れない。
「名前…聞いとけば良かった」
まぁ…俺がとんでもないこと言ったから追い出されたんだけど…。
今思い出すと相当馬鹿だ。
変態だと警察に通報されなかっただけすごいと思う。
そんなことを考えながら歩いていると、彼女の家の近くにいた。
「…重症だ。」
ダメだ…。
このままだと俺、ストーカーじゃねーか。
「…っっ!?」
とっさに俺は隠れてしまった。
彼女がこちらに走ってきたからだ。
…俺には気づいていないようだ。
「…なんで走ってなんか」
確かめるために彼女の方を見ると、彼女の後ろを追う中年男が見えた。
「…」
なるほどな。
俺は中年男がいい距離に来るまでを見計らって、飛びかかる。
「うわぁあぁぁぁぁぁ」
胸ぐらをつかみ、押し倒すと中年男は気持ち悪い声を出して顔をわなわなと震わした。
「え…」
彼女の方を見ると、微かに瞳に涙が溜まっていた。
「おい…何あの子泣かしてんだよ…」
俺は男の耳元で低く呟いた。
「ひぃっっ」
男は小さく叫び声をあげる。
俺はにこりと笑うと、胸ぐらを掴んでいた手の力を強くして今度は彼女に聞こえる声で呟く。
「おっさん、こーゆーの良くないと思うよ?…もうこの子につきまとうなよ…」
中年男は瞳にたくさんの雫を溜めて大声をあげて走り去った。
「大丈夫?」
しゃがみ込んでいる彼女に手を差し出すと少し震えた手で握り返してくれた。
あ…れ…?
でもなんか…俺、身体がすごく重い。
そんなことを思いながら俺は彼女と話している途中で意識を手放してしまったのだった。
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