コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 危険な猛獣(♂)拾いました。〜彼は発情期〜 ( No.20 )
- 日時: 2013/03/10 20:02
- 名前: 珠紀 (ID: CSYaft37)
〜奈々side〜
「あの…まずお風呂に入ってください。その…臭うので」
「…」
そう言うと、彼は気まずそうに私から距離をおいた。
「?」
「いや…俺臭うなら、近くにいない方がいいかなって」
「…もしかして、自分が臭うとか思ってなかったんですか?えっと…結構あなた、汚いし臭い…ます」
「…っっ!?ごめん!すぐ風呂入ってくるっ」
彼は真っ青な顔をしてお風呂場へ向かった。
「あ、待って!!あなたの名前っ!」
「あ…俺は陽斗。太陽の陽に北斗七星の斗」
「…陽斗…。あ、私…奈々です」
「奈々ちゃん」
陽斗…に名前を呼ばれた瞬間心臓がどくどくとなる。
なんか久しぶりに誰かに名前を呼ばれた気がした。
「じゃあ、お風呂借ります」
「あ、ぅうん」
陽斗はまたばたばたと走ってお風呂場に向かった。
「…」
顔が火照る。
今更なんだけど…
一人暮らしの女の子の家に男の子が住むのってまずいんじゃ…。
どうしよう。
まったく考えてなかった。
「…っっ!」
そして重要なことに気づき、私は慌ててお風呂場に向かう。
「陽斗っ!やっぱり待っっっ!」
…遅かった。
洗面所には私の下着がいくつも干されている。
それを赤面しながら見つめている陽斗。
…終わった。
「な、奈々ちゃんっ。」
ロボットのようにガチガチになりながら、私の方を振り向く陽斗。
私の顔はこれ以上なく赤くなり噴火直前だった。
「ごめんっ!見てないから!!あ、見たんだけど…い、いやらしい気持ちで見てたんじゃなくてっ!その…つまり。…あれ?」
陽斗も混乱して目が横やら上やらに動いている。
「きっっ!!!!」
「待ってっっ!叫ばないで。本当にごめん」
陽斗は叫ぶ寸前の私の口に手を当てて抑え込んだ。
「あ!!ごめんっ。俺、臭いよな…?ぁーどうしよう。まず、さっきのところに移動しよう?」
私は叫ばないという意思表示のようにコクコクと大きく頷いた。
だけど、居間に行っても気まずさが重なり2人して真っ赤になりながら無言をとおすことしかできなかったのだった。