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Re: 危険な猛獣(♂)拾いました。100突破(`ε´★)泣 ( No.36 )
日時: 2013/03/17 14:07
名前: 珠紀 (ID: RblFco13)

『俺も奈々ちゃんの学校に通うことにする!』

…聞き間違いと思いたかった。

「今日は転校生を紹介するぞ〜」

だけど、そう言った本人が今…目の前にいる。

「鈴木陽斗です」

一つ年上のはずの陽斗は歳をごまかして、私のクラスに転校してきた。

っていうか…入学手続きとかパパッて済ましちゃって本当に陽斗って何者なんだろう…。

やっぱりどっかのお坊ちゃんなんじゃ…。

じっと見つめていると、不意に陽斗と目があった。

「奈々ちゃん」

にこりと微笑みられ、手を振られる。

「えっ!?山田さんと知り合いっ??」

案の定、女子たちの視線が私へと向けられる。

痛い、痛い鋭い視線が…。

「先生〜俺、奈々ちゃんの隣がいい。」

「え!?」

陽斗はとんでもないことを口に出す。

「そうだな〜知り合いだし、分からないことがあったら山田に聞きやすいしな。そうしよう…山田の右か左の奴どっちか鈴木に席を譲ってくれ」

「先生!?」

私は驚いて勢いよく立ち上がってしまった。

その反動で椅子が倒れる。

右には内山君…。

そして左には…

「俺は嫌です」

そう呟いたのは左の席の…

大ちゃんだ。

大ちゃんの言葉に周りもざわつく。

「そ、そうか…。なら内山、鈴木に席を譲ってくれ」

先生も驚いたのか目をきょどりながら指示をした。

内山君が席を譲ると、陽斗はすぐに私の右隣の席に着いた。

「奈々ちゃん、よろしくね」

にこにこと私に話してくる陽斗とは反面…大ちゃんからはものすごい視線がおくられる。

「ょ…よろしく、ね」

私はぎこちない笑顔を返した。

「これで朝のホームルームは終わる〜」

先生の声で、私は席を立ち礼をしてまた席に着く。

「奈々ちゃんとこれから学校が一緒なんて嬉しいなぁ」

「ぅ、うん」

私の頭の中は一緒に住んでることをばれないためにはどうすればいいか…ということでいっぱいだった。

「は、陽斗…っ一緒に住んでることはね?」

「分かってる、内緒だろ?」

小さい声で話しかけると、陽斗は嬉しそうに頷いた。

…心配だ。

ものすごく、心配だ。

「…山田に仲のいい男子なんていたんだな」

「…!」

ガチガチになりながら声の方を振り向く。

「だ、大ちゃん」

「俺、知らなかったな…」

あまり笑わない大ちゃんが笑っている…。

「大ちゃんっっ、ぁ、あのね…怒ってる?」

「なんで…?怒る理由がないじゃん。まぁ、これからは間あけて席が近いんだし…よろしく」

大ちゃんが私の目の前に陽斗に向かって手を差し出した。

「ん…よろしく〜」

陽斗もその手を握り返す。

「…」

「…」

2人して顔は笑顔なのに…。

手だけがギチギチと痛そうな音を出していた。

「それで、山田とはどうゆう関係で?まぁ俺は山田の幼なじみなんですけど、ね!」

「幼なじみ?へー…ただの幼なじみに言わなきゃダメなの、か!」

私を挟んで2人の間に火花が散っている。

「2人とも…喧嘩しないで仲良く、ね?」

「「喧嘩なんかしてない!!」」

2人の言葉が重なる。

「「真似するな」」

また重なった。

…相性はいいの…かな。

この後も、私は2人のやり取りをハラハラしながら1日を過ごしたのであった。