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Re: 危険な猛獣(♂)拾いました。〜彼は狼のようで〜200突破(泣 ( No.46 )
日時: 2013/03/19 21:41
名前: 珠紀 (ID: RblFco13)

一眠りしてからまた目が覚めた。

「ん…陽斗」

自然と彼の名前を呼んでしまった。

「どうした?」

慌てた彼の声が近くで聞こえた。

目線を下ろすと私の手に握られているもう一つの手。

…陽斗の手、暖かい。

「ご飯作ったから食べる?食べれないなら冷蔵庫に入れとくけど」

「…ありがとぉ。大丈夫、今食べるよ」

ゆっくりと身体を布団から起こす。

「その前に…。…熱、だいぶ下がったな」

陽斗の手が額に当たる。

ひんやりして気持ちがいい。

「ぅん。だいぶいい」

「…ん。じゃあ〜はい」

私の口元に差し出されるスプーン。

「ぇ…?」

「口開けて?」

それって…もしかして、『あ〜ん』というやつでは…っっ

「自分で食べれるよっ!」

「ダメ。俺がやりたいんだもん」

膨れ面なる陽斗。

…可愛い。

「分かったよ…」

口をあけて素直にそれを食べた。

「…おいしい」

陽斗に目線を向けると、彼は優しい眼差しで見つめてくる。

「…俺…さ。いつも食べるのとか1人だったから、こういう風に誰かに美味しいとか言われたの初めてなんだよな。ありがとな、奈々ちゃん」

…1人。

私もいつも独りだった。

こんな風に笑い返してくれる人がいるだけで、こんなにも心が暖かくなるものなんだ。

「陽斗…ありがとう」

私は陽斗が作ってくれたご飯を綺麗にたいらげ、また眠りについたのだった。