コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 危険な猛獣(♂)拾いました。〜彼は狼のようで〜200突破(泣 ( No.47 )
- 日時: 2013/03/19 22:32
- 名前: 珠紀 (ID: RblFco13)
今日は昨日の熱はすっかり治り絶好調だ。
「奈々ちゃんっ!今日一緒に行こ」
私が学校に行けると聞いて大はしゃぎな陽斗を見ると少し気恥ずかしくなる。
だけど。
「一緒に学校行くのは…無理」
…もし、いろんなひとに誤解とかされたら困るし…一緒に住んでることは隠さないと。
「…そっか…」
肩をおとす陽斗。
少し罪悪感が込み上げる。
「んじゃあ、陽斗から先に家を出て」
納得してくれた陽斗が玄関から出て行く。
…10分後。
「…そろそろいいかな」
10分経って家を出る。
だけど歩いているとあっという間に陽斗に追いついてしまった。
それもそのはず…。
「おはよー陽斗〜」
「学校一緒に行っていいでしょ〜?」
女の子達に行く手を阻まれていたからだ。
…陽斗には悪いけど、知らんぷりして通り過ぎた方がいいよね。
何も言わず通り過ぎようとする。
…が。
「奈々ちゃんっ!」
振り向くと困ったように助けを求めてくる陽斗。
女子たちの視線が私へと向けられる。
…鋭い視線で。
ぅ…こわっ。
「ぁの…陽斗、くんが困ってるからそういうのはやめた方が…」
「はぁ?」
や、やっぱり怖いよぉ…。
只今絶対半泣き状態。
「ってかさ〜何?陽斗が山田さんに懐いてるからって独り占めしたと思ってるわけ?」
「うーわっっ自意識過剰〜」
女子たちが大きな声で笑い始める。
「こらっそんなこと言うな、奈々ちゃんはいい奴なだけ。虐めないで?」
陽斗がその子の頭を優しく叩く。
ズキンと心臓が痛んだ。
「ね。奈々ちゃんも一緒に行こ」
陽斗が私の腕に触れる。
さっき違う女の子を触れた手で。
「触んないでっ!」
陽斗の手が止まる。
「ぁ…ごめっ」
「ないわー」
女子たちがクスクスとこちらを見て笑う。
「…っっ!」
私は無我夢中でその場を走る。
…私、なに考えてるんだろう。
他の女の子に触らないで欲しいなんて思うなんてっ
…どーかしてるっ!!
「奈々ちゃんっ!待ってっ」
私の後を追ってくる陽斗。
「ついてこないでっ!」
「そーゆーわけにも行かないだろっ」
だってこんなの…。
「待てってっ!奈々ちゃんっ」
こんなのっっ!
「奈々ー…っっ!!」
その瞬間腕を強く掴まれた。
なんで…。
「…なんで追ってくるの…」
「だって、奈々ちゃんが…泣きそうな顔してたから」
…私、おかしいよ。
こんな気持ちになるなんて。
「…陽斗が…他の女の子に優しくしたり、触れたりしてるのを胸の奥がもやもやするの…。嫌なの。私、おかしいっ」
だけど、それは。
「…ヤキモチ妬いてるの…」
「…!」
自然に涙が溢れてくる。
「…俺、奈々ちゃんが嫌ならもう女の子に優しくしない…触れない」
「…っっ違うの!別にそーゆーのを望んでるんじゃなくてっ」
「奈々ちゃんが泣くの嫌だ、笑ってて欲しい…」
本当に私は何をしてるのだろう…。
こんなワガママ言って、困らせて。
「…俺は、奈々ちゃんしか見ないよ?」
「…っ!陽斗、そういうんじゃなくてっ私が言いたいのはこれは私のワガママでっ!!」
「なんで?」
いきなり低くなった声に身体がビクリと反応する。
「奈々ちゃんは、俺が他の女の子に優しくするのが嫌だって言った…触れるのが嫌だって言った。…それは、俺が奈々ちゃんなら優しくしても触れてもいいってことでしょ…?」
優しく頬を撫でる手つきにぞわりと背筋が揺れる。
陽斗はこの頃、狼のような目つきをする。
…目が、離せない。
「…奈々ちゃんも俺だけ見ないと、ダメ」
耳元で話しかけられて真っ赤になってしまった。
それを見て口角をあげる陽斗。
今の彼はまるで、獲物を捉えた肉食動物のようだった…。