コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 危険な猛獣(♂)拾いました。〜彼は狼のようで〜200突破(泣 ( No.51 )
- 日時: 2013/03/21 19:44
- 名前: 珠紀 (ID: RblFco13)
「まず男子ぃ〜25㍍泳げ〜」
男子たちが一斉に位置につき先生の笛の合図でスタートをした。
「うわぁ陽斗…カッコイい…」
他の男子が半分に到達する頃には、陽斗は既にゴールしていた。
ふーん…運動神経もいいんだ。
キャーキャーと騒がれる陽斗を見てまた胸の奥がもやもやした。
…本当に私って、何なんだろう。
陽斗は別に私の彼氏でも何でもないのに。
こんな醜い感情を持って…。
「次は女子〜」
先生のかけ声に我に返り、首を大きく横に振ってプールの中へ入った。
「よーい、はいっ!」
先生の合図で一斉に泳ぐ。
…泳ぐのだが、私の身体はどんどん沈んでいく。
そう、私は極度の運動音痴だったのだ。
「おーい、山田ぁ。溺れてんのか〜?」
先生はそんな私を見ても助けようとしてくれない。
自力で持ち直すと思っているのか…。
普通の人ならできるだろう。
だけど私は…。
「運動音痴だから無理です〜っ!!」
必死に叫ぶも、水が口に入り何を言っているか分からない。
も…ダメ…。
暴れるのを止めようとした時、誰かに両手を掴まれた。
「先生ぇ、溺れてる生徒助けなきゃだめじゃん…」
陽斗だった。
ものすごい目つきで先生を睨んでいる。
「ぁ…溺れてたのか…わ、悪い山田」
その目つきには先生も肩を震わした。
「奈々ちゃん、大丈夫?水いっぱい飲んで苦しかったろ…」
「うん…ありがと、陽斗」
陽斗は私を抱っこするように担いで、プールのベンチに座らせてくれた。
「ずるい〜山田さんだけー」
「私も泳げないから、抱っこして〜」
女子たちがまた陽斗に群がる。
「…」
もやもやもやもや…。
胸がうるさい。
陽斗はじっと私を見てから笑顔で見つめてきた。
そして、女子たちに向き直る。
「…ダメ。俺は奈々ちゃんのだから、俺は奈々ちゃんにしか懐かないの」
「えー、なにそれ」
「山田さんに縛られてるだけじゃないの〜?」
女子たちはそれでも尚、陽斗にベッタリ。
「ん〜…とりあえず」
陽斗が女子たちに笑顔を向ける。
「俺に触んな?」
しんっと静まり返った。
「も、もうっ!陽斗なんか知らない!」
1人の吐きゼリフとともに次々と女子たちは私達の周りからいなくなってしまった。
不覚にも、嬉しいなんて思ってしまった。
この人を独占したい。
私だけを見て欲しい。
…そんなことを思うなんて、私もしかしてー…。