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Re: 【アビチルラジオ】アビリティチルドレン【更新なう】 ( No.113 )
日時: 2013/03/30 09:06
名前: せぷてむ ◆9FXqrrTuEc (ID: Z6QTFmvl)

 運動場に来たら先輩達も居た。え、まさか中等部全員で争うのか。だったら、5000円とか安すぎる。あと10000円は値上げしないと。

「あー、お前ら。先輩後輩、縦社会なんてもう気にすんな! 強いやつだけが生き残れるんだ。だから、精一杯やってこいやぁ!」

 先生の言葉が終わり、早速開始された。
 いくらなんでもいきなりすぎる。そして自己紹介なるわけがない。絶対。先輩達も唖然としている。みんな動こうとしない。
 ちなみにあたしは勝ち残るための秘策がある。ひたすらに逃げ回り、最後の方で参戦するという。卑怯? これも作戦のうち。とわいえ、みんな焦っている。どうすればいいんだよ! って叫んでいる人も居る。だったら、早速逃げ回ろう。隠れよう。でも、その前に。


 ——ビリビリッ!

 すさまじい雷が運動場の真ん中、あたし達が居る辺りよりちょっとだけ離れた所に落下する、否、落下させた。うん。
 これでみんなアビリティの打ち合い、護身用の武器での殴り合いのバトルロワイヤルが開催された。そこまでグロテスクじゃないが。
 あたしはもともと背が低いので難なく集団から離れた。




「あー、面倒ー」
 いつのまにかお隣に先輩が居た。制服の色からこの人は3年生だ。マスクしている。マスクしている。花粉症なのか?
「あ、お前誰?」
「1年の雷使いです」
 名前はあえて名乗らないでおこう。面倒臭いし。
「じゃあ、お前か? 最初のやつ」
「そうですが」
「かなりの威力だったな。思わず逃げたぜ」
「いや、面倒だったから逃げんじゃないですか?」
「ばれたか」
 自分で面倒だってさっき言っていたよねこの先輩。そして名前を言わなかった事に気付かれなかった。いや、気にして無いだけか? 気にし無さそうな人だな。失礼か。

「先輩、貴方何時までこうしているつもりですか?」
「終わるまで」
「まあ、奇遇ですね。あたしも終わる頃に参戦しようかと」
「いや、誰も参戦するなんて言ってねーし」
「だって、成績に響きそうじゃないですか」
「それだけのためかよ!?」
 突っ込まれたがあえてのスルーだ。気にしちゃあいけない。

 今更だけどこの学園って可笑しいよね。何でもありだよね。楽しいからいいけどさ。……ん? 頭になんか軽いものが乗った気がした。触ってみると薄い板のようなものがある。無害だろうし取って見るとそれはCDだった。

「え、ちょおま、気付いたのはやっ!」
「先輩のせいですか……」
 なんのCDか見てみると……これは、あの有名バスケ漫画のキャラのキャラソンだとっ! よし、貰おう。だってあたしの頭の上に置かれたんだもん。そっとジャケットの中にしまおうとした。

「いやいやいや、返せよ!」
「ちっ」
 軽く舌打ちして返す。欲しかったのに。




 そんなときだった。地面がかすかに揺れ始めたのは。反射神経だけは無駄にいいのでとっさにこの場から離れる。風魔法を駆使して結構な速さで。先輩も早く気付いたようだ。

「ちっ、”魁人”お前かよッ!!」
「”基”ちゃ〜ん、さぼりは駄目だよ?」
 先輩、基先輩の前に現れたのは肌白くて、黒い髪の先輩。手をだし、指を下に曲げると基先輩の下の地面が割れ始めた。

「おそろしいな……」

 先輩達は怖いと思った。あたしは風魔法を駆使して飛び、木の上から2人を見ることにした。面白そうだし。