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Re: ネオンソーダの泡達のポップ ( No.19 )
日時: 2013/04/05 11:22
名前: れとら ◆8Odabd9tcI (ID: uM8899vc)
参照: 重ッでも最後はハッピーエンドなんで!!!


「何、してんの」

彼は小さな身長で、僕を見下げている。
学校は、と言いたそうな顔に、お前は、と言いたくなる。

「そっちこそ」
「僕は不必要だから追放されたんだ」
「は?」
「音楽のグループ練習。僕だけ必要ないんだって」

いつの間にか僕の近くに座っていて、ランドセルの中を見ていた。
破り裂かれた教科書に、目も当てられない。
それは、デジャヴだった。
僕はそれを経験したことがある。
ある、あるんだ。

教科書が破り裂かれ、上履きは赤でペイントされた。
毎日の様に、机には大量のゴミが置かれ、椅子には画鋲までおいてあったりした。

「お前、辛くないの」
「辛いけど、お姉ちゃんの方が辛いはずだから」

その時聞いた話が、佐倉玲加の話だった。
彼を気遣い、音楽を聴かないで暮らしていた日々に来た落とし穴、ふたつ。
その姉を、弟は気遣い、外の世界にいるらしい。
可哀想な、姉弟だと、思った。

「それで、お兄さんの方は」
「いじめられて、登校拒否。家にいるのも嫌だから、此処にいる」
「僕と同じだ」
「お前、名前は?」

佐倉、奏都とか細い声で名乗った奏都は、本当に、自分の名前が嫌なんだ、と感じさせた。
近田圭という自分の名前を言ったとき、ジリジリとした日差しが、揺れた。