コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: ネオンソーダの泡達のポップ ( No.7 )
日時: 2013/03/26 09:36
名前: れとら ◆8Odabd9tcI (ID: MGsyo9KU)


「貴方たちは、私に、入ってほしいのですか」

気付けば、こんなことを口走っていた。
生意気な後輩だと、思われたかもしれない。
でも、それは、私が思ったことの全てで。
気になったから、この部屋に入っただけだということは、言わなかった。

「それは勿論です」

先輩なくせに、敬語を使うことはケイの意義なのか。

「此処にはギターがいないしね」

可愛らしい童顔とは裏腹に、きつい口調のマイ。

「君はきっと、センスがあるよ」

何の根拠も無く、笑ってみせるダイ。


この頃の私は、彼らの事を何も知らなかった。

 
 
                 ●


また来ます、とそう一声掛けて部屋を出てきた。
体が心臓になったような、そんなドキドキの余韻がまだ身体に残っている。
でも、私には、人前に出ることは正直まだ出来なかった。

「軽音楽、ね」

そこらへんにあった小石を蹴って自転車小屋へ向かう。
西棟の左側にある自転車小屋には、彼らの音楽は聞こえてきた。
凄くいい音なのだ。本当に。
けれど、何かを伝えるような音楽は、生まれてない。
完全下校まであと数十分。

「(彼らはいつまで、その音を奏で続けるのだろうか)」