コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 彷徨いメイズ〜いつか自分を失う日まで〜 ( No.3 )
- 日時: 2013/03/24 09:49
- 名前: 椎良 (ID: EtUo/Ks/)
第3話
5時間目の授業をまともに受けれる生徒はそういなかった。
学校には今、警察が来ている。
授業中でもパトカーの音は聞こえていた。
紺野悠人の死は、学校中の生徒に知れ渡っていた。
柚月は、教室の重苦しい空気に息がつまりそうだった。
窓の外を眺めると、やっぱり南棟の屋上が目に入る。
———————あそこで今日、同級生は死んでいた。
受け入れなければならない現実————。
それはあまりにもつらいことだった。
その日の授業は長かった。いや、誰もが長いと感じているだけだ。
放課後になると、誰一人として教室を出る者はいなかった。
みんなは静かに教室の中で集まっていた。
するとそこへ、教室の扉を開けて宮脇が入ってくる。
「みんな!紺野・・・他殺だって!」
その言葉に、生徒たちは肩を震わせる。
他殺————ということは、誰かに殺された…………。
「一体誰によッ!」
里歩が涙目で怒鳴った。
「そんなのわかんねえって。今、警察が調べてるみたいだけど」
宮脇も結構困惑していた。
—————————静寂な空気が流れる教室。
「なんで…紺野が殺されるんだよ………」
とうとう宮脇が泣いてしまった。
つられるように、あちこちから生徒の泣き声が聞こえる。
里歩は耐え切れず、机に俯いてしまって顔をあげることはなかった。
「里歩………」
柚月は、そっと里歩の肩をさすってあげた。
「こんなことなら……俺、ちゃんと謝っておけばよかった……」
宮脇が泣きながら悔いを語る。
「2年のころ、校長室の窓を割ったの俺なのに……一緒にいた紺野に罪をなすりつけたんだ」
「うそ、あれ宮脇のしわざだったの!?どうりで紺野がするはずないと思ったわ」
香音が呆れたふうに言い放つ。
すると香音は、続けてこんなことを言った。
「てかさぁ、ずーっと気になってたんだけど………なんで宮脇さ、あの時…わかったの?」
「なにがだよ」
「屋上のドアが、どうしてガムテープで固定されているってわかったの?」
「いや、それはッ……鍵はかかってないし粘着性があったし……」
「それ、ほんと?」
「おい、鈴木!なにが言いたいんだよ」
「べってにー。ただもしかしたら、と思ったのよ」
香音の言葉の続きは、みんな分かっていた。
「宮脇、あんたが紺野を殺したんじゃない!?」
「はぁッッ!!!!」
宮脇が激憤して、香音の机を思いっきりドンッとたたく。
香音は平然として、「アンタなんかこわくないわよ」というような顔をしていた。
「バカ言うんじゃねえよ!ガムテープなんて、あれは仮定で言ったことだろうが!!」
「でもあたし、ちゃーんと見たわよ。屋上側のドアにガムテープが貼ってあったのを」
「それだけで俺を犯人扱いすんなよ!」
「それに、誰よりも先に紺野に近づいたのアンタでしょ?ほんとはあの時、ちゃんと彼が死んでいるか心配で見にいったんじゃないの?」
「何だよそれッ!紺野は俺のダチなんだぞ!俺はただ、本当に紺野なのか確かめたかったんだよ」
必死に否定する宮脇。
しかし、クラス全員の目は彼を刺していた。