コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: うさぎちゃんと野獣君。 ( No.2 )
日時: 2013/03/25 22:09
名前: ぽちゃりす (ID: hqDEfpDX)

〜うさぎたん〜

「おはよー」

高校生が行き交う人の中、ひときわ小さな人物がいる。

それが私だ。

「フギギギギギギ〜っっ!!」

靴のロッカーの場でみんな自分の靴をサラリと取り出しているのに、私はまだ自分の靴を取り出せないでいた。

「ふんっ!ふんっっ!!もうっこのロッカー…高すぎっ」

一生懸命ジャンプしてようやく手が届く高さ。

…私の靴箱を下の棚に移して欲しい。

「…なっっ!なななななっっ」

ようやくとれた靴を見て呆気にとられる。

「なにこれ〜〜〜〜〜〜〜っっ!!」

私はソックスのまま廊下を歩くわけにもいかず、それを履いて教室へ走って向かった。

「ちょっとっ!誰よ〜私の靴箱にこんなピコピコ靴入れたの〜っっ!」

そう。

私の靴箱に入っていたそれは、幼稚園児が履くような歩くたびにピコピコと音が鳴る靴だった。

「でもピッタリだったでしょ?21㌢のお子ちゃまの足には」

「うさぎたん今日も小せぇな〜」

男女とも私をこうやっていつも小馬鹿にする。

「う〜小さい言うな〜っっ!」

「へいへい」

近くにいた男子に頭を撫でられる。

いつもこうやって子供扱いされる。

こんな私は同い年や年上に恋愛対象として見られないわけで…恋なんてしたことがない。

…というより無理だよ。

こんな身長じゃ。

「痛ってぇ!!!」

急にガンっと如何にも痛そうな音が後ろから聞こえた。

「おいっ!誰だよ…こんな低い柱作りやがって、俺への新手の苛めか?」

後ろを振り向くと物凄い巨人が教室の入り口の上の柱に頭をぶつけているのが目に入る。

「バッカ!苛めじゃねーよっお前の背が高いだけだろっ!?」

教室はその人が来ただけで、どっかんどっかん笑いが飛び散る。

「あ…俺身長高いこと忘れてたわ」

そんなことを言いながら欠伸をして腰をかがめて教室へと入る彼。

「うーっす…うさぎ。今日もちぃせぇな」

「ぅ…おはよっ熊君」

彼の名前は熊川空君。

皆は熊って呼んでる。

「空から見たら、うさぎたんなんてアリンコだよな」

1人の男子生徒が熊君の隣に立って私を見下ろした。

唯一熊君を空と呼ぶ熊君の親友の仁君。

仁君もそれなりに身長があって、私は結構上を向かなくてはならない。

「うっはー首チョー上にあげてる。カワイーうさぎたんっ!」

仁君は私の頭をワシャワシャと荒く撫で回す。

仁君は熊君と並ぶくらい人気者で明るいムードメーカな人だ。

「そんなうさぎたんにはお菓子をやろう」

「えっ!お菓子?」

ワクワクと仁君を見つめる。

「ゴメーン。うっそ」

てへっとお茶目なポーズを取りおちゃらける仁君。

「むぅ。ひどい」

私は肩を落とす。

「おい…あんまうさぎ、苛めんな」

「痛ってっ」

ゴツンと思いっきり熊君は仁君の頭を叩く。

「悪かったな…」

そっと、私の頭に触れる熊君の手。

みんなとは違う優しい手。

「ぅん」

私は彼のことが今、気になっているー…。