コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- ESPガールアドベンチャー ( No.16 )
- 日時: 2013/03/30 23:22
- 名前: 岡井香 (ID: og1NzBie)
「…で、なんだっけ?」
「はぁ!?私が質問してから、まだ一分くらいしかたっていないじゃないですか!あなたの記憶力は、鳥並みですか?」
「うる…うるさい!質問に答えないぞ?」
私は諦めたようにため息をつき、「わかりましたよ。」と言う。意味は無いがひとつ咳払いをして、ルナと向き合う。まるで、推理をいう探偵みたいだと思う。
「なんでここにいるんですか?」
「私がここにいちゃ、悪いか?」
疑問符で答えてくるルナに、私はスパンと言い返す。
「答えになってません。…つまり、あなたはインティファン家の当代なんでしょ?当代。家にいなくて平気なんですか?」
「ああ、家に私がいなくても問題ない。…それに、わ……には……しな…」
ゴッとひときわ強い風が吹く。
「えっ?何ですか?風が強くて最後の方聞き取れなかったんですが…」
ルナは緩慢な動作で、首を横に振るとなんでもないと言った。
「まあ、ここにいる目的はある…組織を追っているからだ。」
「ある組織?」
ルナは今度はしっかりと頷く。
「超能力の名家の子供を誘拐して、売る組織だ。」
「子供?まだ力が不安定だから、『商売』には使えないんじゃ…」
何かこの言い方嫌だなぁ。
「だが、子供は判断力が無い。そして非力だ。そのどちらかの、条件に当てはまれば奴らにとって格好のえさだ。」
つまりと、つぶやく。
「非力な子供を誘拐して、奴隷にするんですか!」
「多分な」
「っ…ひどい!」
人間のする事じゃない!
そこである事に、思い当たる。そして、ひとつの考えに思い当たる。
「そしてルナは、妹か弟が誘拐されたので助けるために追っているんですか?」
「違う。」と、ルナが即答する。
私は目を丸くする。
「えっ?じゃあなぜ…?」
そしてルナを見ると、今まで見た事が無い以上に顔が赤くなっていた。
「…〜なっ、なんとなくだ!悪いか?!」
そこまで照れなくても…というのが、こちらの素直な感想だ。
「…あなたみたいな人にも、慈悲というものはあるもんですねぇ…」
「?何、遠い目をしているんだ?」
「いえいえ…」
「?」
怪訝な顔をしているが、放置する。
あれっ…ちょっとまって。子供ってどこからどこまで?
ルナに訪ねると絶望的な答えが返ってきた。
「まあ、大体十八くらいまでだな。」
「えっ、じゃあ、十六は?」
「規格内だ。」
「うへえ…」
そして、奴らは黒いタキシードをいつも着用しているらしい。
「じゃあ、じゃあ…」
私は、わなわなと体を震わす。
「最近やけにしつこいあいつらはその組織の人間だったの!」
「ついでにいうが、奴らは狙った獲物は逃がさないぞ。」
「うあああああああああ!」
変なものに、狙われたもんだ。
とりあえず、今は叫ぶ事しか出来ない。
てゆうか、本当に永遠に鬼ごっこ状態だ…!どうしよう。
「…るぞ。」
「はっ?」
涙目でルナを見上げると、フイとむこうを向かれてしまった。
「えーと…今なんて…?」
ルナは、キッとこちらを振り向いた。その顔は、ほのかに赤い。
「いっ…いっ…」
「い?」
首を傾げる私。顔を更に赤くするルナ。
そしてルナは、やけくそのように叫んだ。
「いっ、一緒にいればある程度守ってやれると言っているんだ!」
「はぁ?」
私は、精一杯胡乱げな顔をする。ますます顔を赤くするルナは、さっきまでのクールな大人っぽさは微塵も感じられなかった。
「え?なんで?」
たしかに、一番力が強いと言われている人が近くにいるのは心強いが。
「私一人でも…多分大丈夫だよ?」
ルナが偉そうに腕を組む。未だに顔は赤いが。
「あっ、あんな雑魚に手こずっているお前が?ふ…フンっ!笑わせるな。」
むっ。
「それにだな、私はいいが見捨てたとなると後味が悪い。私はどうでもいいが!」
むむむむっ。
「それに少しは戦力になる。」
カチン。
「…じゃあ、よろしくお願いします!」
頭の中で何かが切れてしまった。
「わかった。」
ルナは精一杯クールに言った。無駄だったが。
そうゆう事で、私はルナと悪者退治に旅をする事になった。