コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- ESPガールアドベンチャー ( No.23 )
- 日時: 2013/04/21 17:28
- 名前: 岡井香 (ID: og1NzBie)
2「んあっついっ!」
「うるさい。黙れ。口を開くな。うざい。」
「暑い、暑い、暑いっ!!」
その瞬間、私の頭上に突如水が現れ重力に従って私めがけて降ってきた。
「うわっ、ちょっと!やめっ…ごぼっ…ごめんごめんて!ギブ、ギブッ、死ぬから!…げほっ…窒息死しそうだからやめてっ!」
水は、ピタッと降るのをやめた。上を見上げると、そこには殺人的すぎる程ギラギラ輝いている太陽と雲一つない青空があるだけだった。
私は、ホッと胸をなで下ろし私を殺しかけた相手を睨む。
「ちょっと!殺す気?窒息死とか、私が嫌な死に方ベスト10に入っているのに!狙ってた?狙ってたよね、絶対!」
「お前、大丈夫か?熱で頭やられただろ。言っている意味が全く分からんぞ。」
私は、びちゃびちゃとまるで河童のように歩いた。その姿は周りから見たら、異様だろう。なぜなら、ここには雨は降らないし海もないからだ。濡れるためには、民家の隣にあるタンクのふたを開けて潜らなくてはならない。もちろんそんなことするやつは、いないだろうが。
「なんか…気持ち悪っ」
「どうだ?少しは涼しくなっただろう。お前は暑いしか言わないしな。よけい暑い。」
「じゃあ、何?涼しいとでも言うの?馬鹿じゃあるまいし、この暑さを涼…」
「黙ってろ、阿呆。」
ここは赤道付近の小さな国。私たちは、和修羅に向かうためこの国を通った。だが赤道付近なだけあって、死ぬほど暑い。
「…まあ…目標達成のためにがんばるか…」
私は、たまらなくため息をついた。
「それにしても、やつら、大人しいね。」
「さすがに、黒のタキシードはこの炎天下では死んでしまうから、追跡をやめたんだろう。」
「いや、あり得ないから。ルナも熱で頭やられた?」
「うるさい。」
「いや、そこまでうるさくないと思うんだけど。」
「うるさいものはうるさい。」
「うるさくないもん。」
「いや、うるさい。」
沈黙。
「…やめよう。水掛け論だ。」
「…そうだね、体力が無駄になるし。」
二人は珍しく意見が一致し、黙ることにした。
今のところは、平和な感じだ。この明らかに殺意があるだろう太陽を除けば。こうして私たちは、前へ進む。