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- Re: ESPガールアドベンチャー【祝☆参照100越え!嬉しいです】 ( No.31 )
- 日時: 2013/07/26 01:57
- 名前: 岡井香 (ID: c7NU3l3g)
Ⅳある町にて
1
リボンを掴んだまま、私は女性を見た。
まだ二十歳くらい、か?
「どうした?」
ルナが怪訝に思ったのか、近寄ってきた。そして、動きが止まる。
「ルナ?」
私が尋ねるとルナは、低く呟いた。
「…何しにきたんだ…?」
彼女は少し微笑んだ。それは、『大人』の微笑みだった。
「久しぶり、ルナ」
「こっちは二度と会いたくなかったがな、ミラ。」
ミラと呼ばれた女性はくすくすと笑う。
「ひどいなー。」
一見他愛ない会話に見えるが、肌に痛いほどビンビンに空気が張りつめている。
てゆうか、ルナのまわりだけ異様に空気が張りつめている。
「ル…ルナ?」
とりあえず呼びかける。
「なんだ?」
答えてはくれたが、鋭い目は相変わらずミラに向けられている。
「あの人、誰?」
「ミラだ。私たちにとって敵であり、裏切り者だ。」
ミラの緑色の瞳がキラリと光った。
「あーあ。昔はもっと可愛かったのに…人は変わるのねー。」
後半の言葉には、妙に実感がこもっているようだ。
「うるさい。お前に気に入られてたまるか。」
相変わらず空気は張り詰めている。
私は状況が理解できず、頭の上に「?」を浮かべていた。
「…えっと…ミラ…さんはルナの知り合いかな…緑の目をしているから…ハマンズ家の人?あれっ?でも何で敵?同じ超能力者じゃないの?……訳わかんない…」
突然ルナが私の腕をつかみ、引っ張る。どうやら、ここにはもう居たくないようだ。
「うおっ!」
思考の旅に出ていた私は、バランスを崩し掛けるがルナは、半ば私を引きずるように丘を下りだす。
「ちょっと待ってって!後ろ向き!後ろ向きでは下れない!」
「うるさい、黙れ、阿呆。」
「はあ?何なのル……!」
私はルナの顔をのぞき込むと、何も言えなくなった。
あの鉄仮面で無愛想で口が悪くて態度がでかくて…そんなルナが、ひどく傷ついた…まるで、何か大切なものをなくしてしまった子供のような顔をしていた。