コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

同じく、余命宣告から9日。 ( No.57 )
日時: 2013/06/19 20:59
名前: YuU【ゆう】 (ID: Pmy7uzC3)

霧原目線 ☆心内☆

「死」の意味を考えた。

楽しいことなんて、考えられなかった。

思いつかなかった。

だって…俺には もう「死」しか無いんだから。


『お母さんには、もう二度と会えないんだ』

幼い頃。まだ父さんが生きていた あの頃に父さんが俺に言った言葉。

『二度と??』

「あえなくなる」とか、俺には どこか何かすれば会えるものだという

希望…淡い思いがあった。

でも…俺が生きていても死んでも…母さんや父さんにあうことは無い。

『あぁ、一生…でも、輝には ずっと父さんがいるから…な』

『うんっ』

死んだあとには、何があるのだろうか?

何もない。確かにそうだけど

父さんも母さんもいないのかな?

じゃあ、あの時のは きっと夢だったに違いない。

前に、美明が病院にいて俺が息ができなくなって気絶したとき

…いや、気絶すると毎回 同じ夢を見る。

『—青い、蒼い、碧い空と綺麗に輝く草原。
 
 俺は、そこに立っていた。
 
 ここはどこだろう?
 
 自分が誰でどんな姿をしているかも分からない。

 いや、興味を持てなかった。
 
 何もかも、どうでも良くなっていた。

 「…母さん?父さん?」

 草原の向こう。

 顔も よく見えない。

 だけど、向こうにいる人を 俺は直感的に母さんと父さんと感じた。
 
 「待って」

 父さんは、ニコッと笑った…気がした。

 母さんも、笑った気がした。

 なんだか、心地がいい。このまま歩いて、二人の元へ行きたい。

 「…?待って、ねぇ、待って!行かないで!」

 でも、二人はくるり、と向こうへ どんどん行っていく。

 どんなに走って、声をだしても どんどん遠ざかり

 やがて見えなくなった。

 「来ないで」

 聞こえた気がした。母さんと父さんの声が・・・』

・・・嫌な夢だった。

俺は、ふと睡魔の波が来て

目をゆっくりと閉じた。