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Re: 偽装人間@000【セリフプレゼントについて&幕間更新】 ( No.144 )
日時: 2013/05/10 21:21
名前: 朔良 (ID: 2IhC5/Vi)

      第5章 転校生は話題の少女

 蘭海高等学校芸能科——たくさんの俳優達が通う、芸能科のある高校である。
 その1年に、転校生がやってくる。

「——優しい子たちばかりだから、安心してね、菊川さん」
「……はい」

 先生の後ろについていく転校生……いや、菊川澪は俯いていた顔を少しだけ上げて、返事をした。
 担任の教師、茶蒲緑さうらみどりは澪が不安がっているのではないかと思っているが、それは違う。ただ、眠たいだけである。

「ここが菊川さんのクラスになるの。1年A組よ。じゃあ……少し待っててね」

 緑はそう告げて、先に教室に入った。

「皆、おはよう! 今日は転校生がいます! 入ってきて下さい!」
 
 扉の外に向けて声をかける。
 生徒達もざわざわとし始める。
 澪は相変わらずの無表情で教室へと入った。

 生徒達は「あのCMの子だ」と周りと話始める。
 澪は知っている顔がたくさん、という思いになった。
「静かに! ……じゃあ、挨拶お願いできるかな?」
 澪は静かに頷く。
「……菊川澪です。よろしくお願いします」

 3秒ほどで終わった自己紹介に皆は少し戸惑う。
「あ……き、菊川さんの席はあそこね?」
 緑が焦りながら席を指をさす。

 澪は指示された席へと歩き出した。

 皆も澪に興味があったが「話しかけるなオーラ」が出ていて、話しかけることはしなかった。

 休み時間になり、一人だけ澪のもとに近づいてきた女の子がいた。
「澪ちゃん! ……て呼んでもいいかな? 出演していたCM見たよ! すごく綺麗でCMのクオリティじゃなかった。本当にすごいね!」
「……ありがとうございます」
 澪は表情を変えず、顔を上げてその子を見つめた。
 何もかもを見透かすような澪の視線に少し困惑したが、すぐに平静を取り戻す。
「私、日野林檎っていうの。よろしくね?」
 知っている名前だった。最近、ドラマで主演の親友役を務めていた子ではなかっただろうか。
 握手を求められる。澪は林檎が差し出した手を少し見つめてから、自分も手を伸ばす。
「よろしくお願いします」

 そう澪が言った時、林檎の後ろから声が響く。
「あ、林檎だけ仲良くなっちゃってずるい!」
 現れたのは、可愛いと呼べる女の子だった。


 緑茶さん、りんごさんのお名前を使わせて頂きました。