コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: 偽装人間@000【幕間更新(久しぶりすぎてごめんなさい)】 ( No.180 )
日時: 2013/05/31 20:31
名前: 朔良 (ID: 2IhC5/Vi)

       第6章 撮影初日、少女は偽装する

 6月某日、都内のスタジオに澪は向かった。
 もちろん、撮影である。
「——ここの2階で撮影することになります」
 車を運転しながら彼は言った。
「……はい」
 澪は簡単に返事をする。
 彼、とは澪のマネージャーである。名前は倉木隼。若手だがしっかりしている青年だ。

「菊川さん入りまーす」

 スタジオに入り、そう言い放つと、一人の女の子が澪に駆け寄る。
「澪ちゃん! 待ってたよー。今日はよろしくね」
「よろしくお願いします」
 妖姫美鶴……芸能界では『美狐』として活動している。今回の作品、「月に疼く」で初主演を務める。
「あれ、知り合い? 二人とも」
 そこへ、プロデューサーがやってくる。
「はい、そうなんです」
 美狐は笑顔で答えた。
 
 そうしている間にも時間はなくなってきている。着替えて、メイクもしなければならない。

 ——簡単に、この物語を説明しよう。
 美狐演じる「藤沢月音ふじさわつきね」は篠田颯しのだはやて演じる「北大路智広きたおおじともひろ」に大学のサークルで出会い、恋に落ちる。だが、智広には病弱な幼馴染がいる。それが、菊川澪演じる「佐野美冬さのみふゆ」だ。美冬も智広のことが好き。智広もやがて月音に恋に落ちるが、美冬の気持ちを知ってしまい……というストーリーだ。
 王道で、面白い、それを狙っているのだ。

「すみません! 前の撮影が延びてしまって……」
 扉の開く音がする。篠田颯が到着する。
 颯も今の若手ではかなり人気がある。戸松比呂に続く力を持つ。
 その後、軽く挨拶をし、監督の声がかかる。
「じゃあ、撮影始めます」

 まずは、月音と智広のシーンである。
 サークルの集まりで知り合い、二人きりの帰り道。仲良くなった後のシーンだ。
『北大路君、アドレス教えて?』
『いいよ。じゃあ……はい』
『なにこれ? え、電話番号?』
 月音は智広に渡された髪を見て、困惑する。
『うん。俺の書いてあるから登録しておいて』
 月音は一瞬きょとん、として、笑いはじめる。
『あは……あはは! 赤外線使わないの?』
『使い方分かんないし……』

 その後も演技は続く。ここからが、澪の演技だ。
 智広と美冬のシーン。隣の美冬の家へと向かう智広。そのシーンだ。




 音さんと北大路さんのお名前を使わせて頂きました