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Re: 偽装人間@000【アンケートしてます&8章更新】 ( No.241 )
日時: 2013/06/25 22:27
名前: 朔良 (ID: 2IhC5/Vi)

 第8章 天才少女達の美しき乱闘

「——続いてのニュース、エンタメ情報です」
 夕方のニュース。まだ若いアナウンサーが伝える。
「若手人気女優、瑞葵由香里さんと新星のごとく現れた女優の菊川澪さんが岡本高貴監督のスペシャルドラマで主演を争うことが昨日発表されました。webで公開され、国民投票でオンエアを決定するそうです」


「——すごいじゃん、澪!」
「……そう?」
 ニュースを見て、相楽千尋が澪に電話をかけてきた。離れてもまだ縁は切れていない。
「どういうドラマなわけ?」
「最初撮影するのは1シーンだけ。亡くなる間際の主人公とその恋人のシーンなんだけど……」
「へえ、恋人役って誰なの?」
「——それが」


「おはようございます!」
「おはよう、由香里ちゃん!」
「今日はよろしくお願いします」
 真面目にスタッフの皆に挨拶する由香里。
 とうとうこの日、webで公開するシーンの撮影をするのだ。
「——おはようございます」
 そこへ、澪もやってくる。相変わらず無表情だ。
「おはようございます、菊川さん。えと……色々ありますけど、お互い頑張りましょうね!」
 澪の方へ駆け、由香里は握手を求める。
「はい……瑞葵さんの演技も楽しみにしていますね」
 澪は、これまで見せたことのないような笑みを由香里に見せた。由香里も同じく微笑み返した。
 スタッフ達も2人を見て、安心する。
「おはようございます」
 後ろから比呂がやってくる。もちろん、相手役だからだ。
 澪の存在に気がつくと、そちらへ向かい、話しかける。
「——また澪ちゃんの演技が間近で見られるなんて嬉しいな」
「……その生意気な口、縫い付けてあげましょうか?」
 そんな会話を澪と比呂で繰り広げている時、由香里はそっと抜けた。澪はそのことに気付いたが、何も言わなかった。

「——で、どうなの、あの菊川って子」
 由香里の楽屋で、マネージャーと話す。
「……なかなか挑戦的だったよ。あんな嫌みらしく笑いかけてくるなんてね……」
「え? そんな場面あったかしら?」
 後ろから一部始終を見ていたマネージャーは不審に思う。
「あったよ。誰も気づかないような……そんな演技がね」

 
 
 ここから、「謎」は「明」に。
 そして、「恋」は「愛」に。
 そうなっていくだろう——。